11月12日、社会体育研究所(長島博所長)の公開シンポジウム「オリンピックがもたらすレガシー(遺産)」が開かれた。
北京五輪日本選手団のハイライトシーンの上演の後、第1部は久木留毅文学准教授(JOC情報戦略部会長)の進行で河野一郎東京オリンピック招致委員会事務総長(JOC理事)による講演「オリンピック招致がもたらすレガシー」が行われた。「21世紀は『都市』の時代であり、都市問題に直面してきた東京だからこそ、世界の手本となることができる。美しく、安全で住みやすい『都市』であることを証明するためにもオリンピック招致を成功させたい。東京に招致すれば、その経済効果は2兆8000億円と言われている。成功させるには国家の品格、政策問題、ビジネス、国際戦略の視点から考えることが必要だ」と語った。
第2部は、全日本男子バレーボール監督の植田辰哉氏、北京五輪・メドレーリレー銅メダリストの宮下純一氏、ソウル五輪レスリング金メダリストの佐藤満本学経営学部教授によるパネルディスカッション「オリンピックが大学スポーツにもたらすもの」が飯田義明経済学部教授(ユニバーシアードサッカー日本代表コーチ)のコーディネートで行われた。
植田監督は、「今回の代表には大学生が2人いたが、代表入りするには、3年生で企業のトップチームで活躍できるほどの実力を身につけ、他の選手にはない、『強み』を持っていることがキーポイントだ。指導者の意識で選手は大きく変わり、指導者の役割はこれまで以上に重要となる。バレーボールアナリストとして活躍する専修大学の吉田清司法学部教授や、卒業生の渡辺啓太さんのようなスペシャリストとしてのスタッフも必要であり、『この大学には、この分野を』という専門性があると、日本のチームスポーツの競技力も向上していく。大学との連携はこれからますます強まっていくだろう」と話した。
大学を卒業して2年目の宮下選手は、「高校までとは違い、自分に足りない点を自分で気づく選手でないと成長しない。大学にはともに励まし合い、成長できる環境がある。今まで良い指導者、ライバルと巡りあい目標に向かってきた。やってきた成果は必ず結果となる」と話し、「私たちの活躍をみて、リハビリを頑張る気持になったという手紙をいただき、逆に勇気づけられた。人に感動を与えられるのがスポーツの素晴らしさだと実感した」というエピソードを披露した。
金メダリストであり、現在は指導者として日本男子レスリングを牽引する佐藤教授は、「男子は低迷しているが、ジュニア世代から一貫して指導することで立て直しを図っている。北京の銅メダリスト・湯元選手は強化プロジェクトの1期生として結果を出した。今後も長期的な戦略を考えて指導に当たらなければならない。高い目標があれば自ずと行動が伴うものだ」と目標設定の大切さを自らの経験も踏まえて話した。