専修大学 自分を探し変革する場に
日高義博学長と学生との座談会

日高義博学長と学生との座談会が12月4日、神田キャンパスで開催され、学生、法科大学院生15人が活発に意見を出し合った。テーマは「私の専大ライフ」。学業、課外活動、留学体験から「ひきつけられる授業」とは、「魅力ある大学」とはどういったものか||に話題が広がり、最後は「専修大学のパワーを上げるには、どうしたらいいか」を論じ合った。若々しい議論が伯仲したその模様(要旨)を採録しよう。
出席者
日高 義博学長

●学生
荻原 弘和(法律学科3年)
佐藤実希子(同)
渡邉麻里子(法律学科1年)
中澤 薫(同)
高橋 幸子(同)
岡野江理子(同)
森川 華子(経営学科4年)
井上 雅智(経営学科3年)
佐藤 慎平(商業学科4年)
間瀬 陽介(商業学科3年)
金 紅梅(会計学科3年・中国人留学生)
小俣 佳啓(日本語日本文学科3年)
白畑 義基(同)
中山絵美子(人文学科2年)
甘利 雅子(法科大学院2年)
自らアンテナを張って
日高 学生の皆さんに自信と誇りを持っていただき、機会あるごとに私の「思い」や創立者たちの「思い」を直にお話して教育の現場を活性化しようとの狙いがあってこの企画を立て、初の開催となりました。本日の座談会で、在学生のパワーを打ち出すことが出来たらいいと思います。まず、1年次生からどういったことを考えて勉強しているのかを聞いていきましょう。
高橋 法学部には弁護士になりたくて入りました。本日出席の 1年次生4人のメンバーで金曜日に勉強する会「金勉会」を作って集まり「民法のここが分からなかった」とか「ここはこうじゃない?」とか言い合うのが楽しいです。
日高 提出していただいた作文には、大学はどこに入ったかではなく、何を学んだかが大切であるとありました。そのことは私も入学式でお話しましたが、それがきっかけで今の楽しい生活になっていると書かれていましたね。
高橋 与えられた自分の場で、精いっぱいやろうという気になったのです。
中澤 私は高校の時に大きな変化を経験しました。「弁護士の数が少ない」それを聞き「ピン」ときたのです。自分は、この道なん
だと思い、そこからまっすぐ進んできて法学部に入学しました。
渡邉 大学でいろいろな人に接することが出来て、自分の考え方が少しずつ変わってきています。自分はこうと思っていてもそれはひとつの考え方にすぎない。いろいろな考え方があって、それを知っていくと自分の中の「モノサシ」が変化してくる。それが面白いと思います。
岡野 「自分を変える」のが夢です。「金勉会」で勉強し、司法試験にもチャレンジすることで自分を変えるチャンスだと思っています。サークルにも入っているのですが、中途半端でなく完全燃焼すれば、何か得られると思って、それを目標に日々励んでいます。
日高 大学は勉強だけをするところではないですし、自分の可能性をいろいろなところで見つけていくことは、大切なことです。4年間で自分探しをし、自己変革が出来るといいですね。2年次以上の皆さんにもお聞きしましょう。
井上 最初は偏差値で大学を見てしまうところがありました。しかし「伝統ある大学」という日高学長のお話を以前お聞きし、専修大学に入学してよかったと思います。私自身、武道(テコンドー)をやっているのでなおさらです。
金 入学して第一のショックは生田キャンパスの坂でした。ガイドには「徒歩何分」とありましたが、徒歩でなく登山ではないかと…(笑い)。日本人の学生たちはおおむね親切で優しいと思います。授業についてですが、講義の中の言葉が分からない時がありますが、先生が自分の言いたいことを伝えるために授業しているのか、私たちに分かってもらおうとして授業をしているのか、判断がつかないことがあります。
佐藤実 ビルの中にある神田校舎は、生田校舎とはまったく違うので、ギャップを感じました。生田は交通の便は良くない面もありますが、神田に通っている私としては、自然があってすごくいい場所にあると思います。現在、生田キャンパス近くの自宅から通っているのですが、たまに散歩をしてもやはりいい場所にあるなと思います。
小俣 授業は、ファーストインプレッションが大事だと思います。1回1回の授業が自分の「モノ」になったらいいと思いますね。先生と学生が、意識して教えようとして、聞こうとして授業は成り立つのではないでしょうか。
白畑 環境社会学の大矢根淳先生の授業が印象に残っています。環境保護というよりも住宅環境、人を取り巻く環境を学んでいったのですが、先生自身があちこちでフィールドワークをし、毎回資料を配って、先生ではなくて学生同士でレポートを評価するというシステムになっています。普通の生活では分からないことも教えられ、本当に参考になりました。ひきつけられる授業には、先生に活気というか独特のオーラがあると思います。
佐藤慎 ニュージーランドのワイカト大学に留学しました。その体験をお話したいです。チュートリアルという制度がありました。
教授についているチューター(助手)がいて、その人たちがレクチャーとは別の時間を受け持ち、復習したり、オリエンテーションの時間を持ったりします。チューターが教授を批判することもあります。「先生はこう言ったが、私の考えは違う。それについてどう思うか」とディスカッションをします。レクチャーを受けた内容を復習し、プレゼンテーションやグループワークもありますし、チューターを通して疑問点をただす機会もあり、学ぶ機会がたくさんあったと思います。教授と学生間の距離が近いですし、学生間での会話が重視されますね。日本では、もう少し学生間での勉強が必要だと思います。
間瀬 大学は知識を教えてくれるのですが、実際に社会に出てからの実践的な知識の「使い方」を教えてほしいですね。僕が考える先生に必要な要素は、「ノリ」ではないかと思います。実際に企業の第一線で働いている実務家を非常勤講師としてヘッドハンティングし、先生の層を厚くしたらどうでしょう。
荻原 日本の「中心」にある神田校舎で学べるのは法学部生にとってとてもいい条件だと思いますね。日高先生のゼミでゼミ長を務めています。法学という社会に密接した学問は、人と話をしなければならない学問だと思いますし、刑法は人を裁くもので、それを学ぶに当たって人間を深く知りたいと思っています。ですから真剣に話し合う場が欲しいですし、先生と学生との距離が、もう少し近くなるといいと思うことがあります。
森川 アメリカンフットボール部のマネージャーをしています。課外活動に多くの時間が割かれますので、勉強に関しては今あるものを最大限に活用し、どのくらい利用出来るのか工夫しながら取り組んでいます。一番身近なゼミ指導の奥村経世先生に相談して、問題解決にふさわしい先生を紹介していただくこともあります。大学では自分から進んで行かないと学べないと思います。
中山 10月、ドイツのマルティン・ルター大学ハレ=ヴィッテンベルクで学んできましたが、今までの日本での授業は、受け身のことが多かったと反省しています。あちらでは授業が終わった後、積極的に先生のところへ行って質問する学生が多いのです。先生にアタックしていく姿勢が大事かなと思いました。
甘利 法科大学院となると、学部に比べ教授との距離は近いと思います。しかし基本的に自分自身が何かを働きかけないと、得るものはありません。森川さんがおっしゃったように何か疑問があったらすぐに聞きに行くというのが大事だと思います。と同時に事前リサーチをして突っ込んだことを聞く姿勢が大事では。それは学部でも大学院でも同じでしょう。法科大学院では課題がどうしても多くなるし、グループワークもあります。これも主体的に動かないと。「求めよ さらば与えられん」ではないでしょうか。何をやっていくのかをあらかじめ考えていかないと、望んだような成果は得られないと思います。
日高 私自身の学生時代を振り返ってみても、皆さんのお話がよく分かります。これを聞いて何の「得」になるのかと考え、不要と判断すれば一切聞かなかったし、逆の場合はトコトンのめりこんでいきました。大学に入ってどんな授業を聞くか、どんな人に出会えるか、それが決定的なことではと思います。先生だったり、友人だったり…人との出会いは極めて重要ですね。またどんな授業がいいかという点では、自分が何を求めているかによって違います。その人の人生観、世界観までもが現れる――それが大学の授業ですね。大学教育は専門的スキルよりも「人間」を作っていくというところに根ざしている、真剣勝負をする場所だと思います。人生観を変えるような授業にめぐり合うには、待っていてはだめで、自分でアンテナを張って、探さないと。さらに一生付き合える友人、喜びを分かち合える友人を得てほしいですね。
専修大学の21世紀ビジョン「社会知性の開発」は倫理観のある人間性豊かな人材の輩出を目指していますが、それは創立者の志でもあります。専大に入ったら「化ける」=自己変革をする。それが大事だと思います。
”24時間大学”欲しい 地域にもっとアピールを
日高 皆さんに議論してほしいのは、大学のパワーを上げるために、ブランド力を高めるためにはどうしたらいいか。みなさんの若々しい革新的な意見をお聞かせください。
井上 自発性を持つのはとても大事なことだと思いますが、専大では、制度が追いついてこないと感じることがあります。夏休みに韓国の大学に留学した時、感じたのですが、パソコン室が24時間使えるのです。好きなことを、個性を伸ばす環境作りを考えていただきたい。たとえば図書館やパソコン室などの使える時間を延長していただきたいと思います。大学を24時間使えるようになるといい。
白畑 同感です。延長が無理なら、せめて朝1時限の授業開始前から使えるようにしていただけるとうれしいです。
小俣 僕らは24時間学生ですから、大学も24時間大学であってほしい。
金 英語の勉強に、ある大学に夜間、通ったことがありますが、そこは大学の中に寮があって、地方出身者は寮で暮らしながら設備を24時間使えました。女子学生にとって安心出来ると思いました。
中山 生田キャンパスにはアトリウムがありますが、学生たちが語り合える場所がもっと欲しい。
荻原 神保町と言ったら専修、生田と言ったら専修と言われるようにしたい。大学は地域にもっと関わっていく必要があるのではないでしょうか。学外にアピール出来る講演会とか、学内ではバリアフリーを徹底するとか、地域とのコミュニケーション、学内の開放に力を入れ、ブランド力を上げていく必要があると思います。
甘利 ブランド力を高めるためには、方向性を定めることが重要だと思います。たとえば、偏差値を上げたい、受験生を増やしたい……。学問やスポーツで社会的評価を確立したいのか、どういう人材を生み出したいのか、目的によって大学の方向性は変わっていくと思います。戦略によって「社会知性」の中にどういうものを詰め込んでいくのかを考えるべきでしょう。学生の評価が高まることによって、社会的評価は高まっていくと思います。法科大学院については、後期になって非常にハードになってきましたので、「寮」あるいは仮眠スペースがあったらいいなと思っています。
創立者の4人の生き方はとてもドラマチックだと思いますが、具体的に何をやってきた人たちなのか一般には知られていません。そこで大河ドラマのようなドラマ仕立てにして、PRするのも一考ではないでしょうか。
間瀬 産学一体で地域貢献を考えてはどうでしょう。特に向ヶ丘遊園駅周辺の街はさびれていますので、街の活性化を担う事業を考えてはいかがでしょう。
小俣 大学として明確なポリシーを掲げてほしい。例えば学生と教授の関係をもっと明確にすること。僕が考える理想は、学生と教員がお互いに高め合えるような関係にあることです。
白畑 毎年、文芸・論文コンクールが開催されていますが、作品を作品集として配布するだけではなく、インターネットで公開してはどうでしょう。専大の学生はこんな問題意識を持って取り組んでいると、大学生の「知性」をアピールしてはと思います。
井上 学外はもちろんですが、まず学内へのアピールが大事です。専修の学生だと胸を張って言える大学であることを、学生一人ひとりに伝える場が欲しいです。
中山 まず、在学生の教育をしっかりやるべきと思います。教育はすぐに効果が出るものではありませんから、一人ひとりの人間性を高めるような内側からの教育をしっかりとすべきと思います。
森川 企業について学んできましたが、力のある企業は、トップから社員までの距離が短い。それは大学でも言えることです。大学を運営している人の考えを学生に伝える場が欲しいと思います。
体育会の話ですが、比較的マイナーなスポーツへのサポートが少ないと思います。マイナーでも強いスポーツをアピールしていく必要があるのではないでしょうか。
佐藤実 自発的に動ける学生ばかりではないでしょう。「一歩」を踏み出すのをちゅうちょしている学生を、サポートしてあげられるシステムが欲しい。そうすれば大学の一体感が得られると思います。
佐藤慎 商学部で3年勉強し、留学を1年経験しましたが、集中的に勉強出来るセメスター制を全学で導入したらいいと思いますが。
岡野 私の場合、通学時間が往復5時間。だから1日に1授業(必修)の曜日は大変です。カリキュラムの組み方に工夫があればと思います。もう一つは保健室のベッド数が少ないと感じます。
高橋 内外に125年という歴史や伝統を周知させてほしいと思います。私も入学式で日高先生のスピーチで初めて知ったのです。
渡邉 専修大学フィルハーモニー管弦楽団のエキストラとして活動していますが、勉学、スポーツのほか文化的サークルをアピールする姿勢がほしいです。
中澤 私はダンスチーム・ミサキに入っています。サークルの良いところを宣伝してほしいです。
金 心身ともに安心出来る大学であってほしい。今、在学中の学生、ここにいる人たちが、将来自分の子供が大学に入学する時、「専修大学に入学させたい」と願う大学であったらいいですね。
日高 次々と意見を出していただき、本日は有意義な座談会となりました。皆さんはしっかりとした目標と、高い意識を持ってキャンパスライフを謳歌していることがよく分かりました。「学生を基本にした大学づくり」を大学運営の基本方針としていますが、本日の貴重な意見を今後の政策に生かしていきたいと思います。そしてこういった機会を今後もたびたび持ちたいと思います。
「再び開催を」の声も 気さくな学長と和やかに
出席者の感想
座談会出席者からの感想は「学長が気さくな方だったので、すぐ和やかになった。こんな貴重な体験を15人だけしか味わえないなんて残念」(森川さん)、「学生の意識改革にとても有効と思う」(高橋さん)、「座談会で出された意見が今後の大学生活に結びついたらよいと思う」(岡野さん)……と一様に好評だった。
「今後もこのような機会があって自分の大学がもっと好きになれば、より良いキャンパス生活が送れると思う」(間瀬くん)、「専大をより良い大学にしていく活動に、直接関わっているような気持ちになった。今後も機会があればぜひ参加したい」(佐藤実希子さん)と、次回の開催を熱望する意見も寄せられた。