2023.02.17 Fri
生物科学科トピックス一覧

【生物科学科】動物コースの卒業研究発表会を開催!

令和5年2月8日(水)、本学5号館5301教室で理工学部生物科学科・動物コース所属の4年次生による卒業研究発表会が開催されました。
生物科学科に所属する現4年生は、2年次後期から「海洋生物コース」「動物コース」「植物コース」に分かれそれぞれのコースの基礎知識・専門知識を体系的に学び、3年次から各コースの先生方の研究室に所属して、卒業研究発表に向けて実験や調査・研究を続けてきました。卒業研究発表会はその集大成。発表者は緊張しながらも、各自の研究の成果を精一発表しました。
発表後には、先生方や学生から様々な質疑を受け、丁寧に回答する様子が見られました。卒業研究発表を通じて、さらなる成長を遂げた姿を見ることができました。


 ※卒業研究発表会の様子は 生物科学科ブログ にも掲載されています。

発表を行った学生が所属する研究室および卒業研究テーマは下表のとおり。
※学生氏名は、個人情報保護の観点から非公表とさせていただきます。
※研究テーマは発表を行った順で掲載しています。


所属研究室 研究テーマ
辻 研究室 石巻市における鳥類のロードキルについて
阿部 研究室 ヒゲカビと粘菌は競争するか共生するか
栁 研究室 ゾウリムシはシストをつくるのか?
辻 研究室 トヤケ森山に侵入したニホンジカ(Cervus nippon)の現状
奈良 研究室 牡鹿半島周辺地域のニホンジカの筋組織について
奈良 研究室 The Effects of Reactive Oxygen Species on C2C12 myoblasts
栁 研究室 ゾウリムシにはエサ嗜好性があるのか?
辻 研究室 宮城県石巻市に生息するハクビシンの食性
辻 研究室 宮城県石巻市におけるホンドテンの食性の長期変異
阿部 研究室 細胞性粘菌の嫌気的培養条件下での栄養要求性の検討
辻 研究室 オニグルミに対するげっ歯類の応答と季節変化
奈良 研究室 短期間の運動による筋肥大への影響
奈良 研究室 短期間の運動が脂質代謝に与える影響
辻 研究室 福島県のイノシシ (Sus scrofa) の胃内容物分析
辻 研究室 ニホンジカの死体を利用する動物相とその季節変化
奈良 研究室 ニホンジカの進出を止める防衛戦  北上川
阿部 研究室 水田土壌から単離された細胞性粘菌の特徴
栁 研究室 ゾウリムシの大核と小核に特異的な抗原の解析
渡辺 研究室 クモの巣形と頭の向き:採餌行動の数理モデルによる解析


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<卒業研究発表者の感想>
■八木澤 凌 さん(理工学部生物科学科4年次) 
①卒業論文のテーマ・研究内容を教えてください。
<卒業研究のテーマ>
トヤケ森山に侵入したニホンジカの現状
<研 究 内 容>
近年、全国でニホンジカの個体群の増加に伴う農林業被害・土壌の流出・植生劣化が報告されています。そのためシカ個体群の適切な管理は、全国的な課題です。大学近くのトヤケ森山に最近ニホンジカが侵入したので、私は侵入初期のシカの個体群構造、ならびにシカの侵入による現存植生や土壌への影響を検討することにしました。

②そのテーマを選んだ理由を教えてください。
シカの環境への影響に関する研究の多くは、シカの定着地域で実施されています。シカが新たに侵入した地域での個体群構造や環境への影響評価を行っている研究が少なかったことが、このテーマを選んだ理由です。

③卒業論文・卒業研究で苦労した点を教えてください。
私が卒業研究で悩んだ点は、必要なデータを収集した上で、膨大なデータを自分で分析し、誰もが納得できる考察をすることでした。3年生までの講義や実験で、得られたデータを分析する力を培ってきたつもりでしたが、実際に自分で収集したデータの分析には時間がかかりました。また、自分のデータで足りない部分は先行研究を引用して結論付ける必要もありました。苦労しましたが、卒業研究で学んだ論理的な考え方は、今後の人生でとても重要なものになるのではないかと感じています。

④卒業後の目標を教えてください。
私は卒業後、毎日意欲的に学びながら地域に寄り添える社会人になりたいと考えています。大学の講義での学びやサークルで得た知識を活かし、地域で問題になっていることを明確にし、またその改善のために自分の意見を提案できるようになりたいです。地域の方々と積極的に交流し、彼らに寄り添いながら課題解決に務めていきたいと思います。


■今 まりな さん(理工学部生物科学科4年次)
①卒業論文のテーマ・研究内容を教えてください。
The topic of my undergraduate research is “The Effects of Reactive Oxygen Species on C2C12 myoblasts”. C2C12 cell line was treated with low - high doses of H2O2, a type of ROS (Reactive Oxygen Species), to observe dose-dependent changes in its effects on cell fate.

<日本語訳>

私の卒業研究のテーマは“The Effects of Reactive Oxygen Species on C2C12 myoblasts” (「活性酸素種がC2C12マイオブラストに及ぼす影響」 )です。筋芽細胞株C2C12を低 -高濃度のH2O2(活性酸素種の一つ )に曝露し、誘導される細胞運命の濃度依存的な変化を調べました。

②そのテーマを選んだ理由を教えてください。
ROS are a group of reactive atoms and molecules, associated with various cellular processes. In muscle repair, ROS are actively produced via immune cells such as macrophages to aid cell debris clearance. However, exposure to high ROS through their overproduction and accumulation is harmful to the myogenic cells as it induces DNA damage and cell cycle withdrawal through oxidative stress. This research was conducted to elucidate the specific concentrations(μM) of low - high doses of H2O2 to C2C12 as well as their effect on potential cell fates such as proliferation, differentiation and cell death.
<日本語訳>
活性酸素種(Reactive Oxygen Species; ROS)は、反応性の高い分子群であり、さまざまな細胞のプロセスに関わりがあります。筋再生時での ROSはマクロファージのような免疫細胞によって産生され、細胞破片の貪食をサポートしています。しかし、過剰生産や蓄積による高濃度のROS は筋細胞の酸化ストレスを発生させ、DNA損傷による細胞周期の停止などという有害な作用を及ぼします。本研究は、C2C12 に対して実際に低い/高いH2O2 の濃度(μM)の解明と同時に、それが細胞増殖や分化、細胞死などにどのような影響をもたらすのかを目的として行いました。

③卒業論文・卒業研究で苦労した点を教えてください。
One of the challenges I’ve faced during research was creating individual designs for the experiments and clearly defining their objective as to not lose focus and direction of the overall research.

<日本語訳>

本研究のフォーカスと方向性を失わないために、一つ一つの実験に対してそれぞれ研究デザインを作成し、目的を明確にすることに非常に苦労しました。


④卒業後の目標を教えてください。
My post-graduation plan is to continue research work at a graduate school abroad.
<日本語訳>
卒業後も本研究において学んだことを生かし、海外の大学院での実験に取り組みたいです。