新任教員からのごあいさつ

令和5年度 専任教員(実務家)法科大学院教授

氏  名大島 義則(おおしま よしのり)
職  名法科大学院教授
担当科目行政法の基礎理論、行政法総合演習Ⅱ(行政救済法)
公法系訴訟実務の基礎、模擬裁判
主な経歴
  • 平成 18年 3月 慶應義塾大学法学部法律学科 卒業
  • 平成 20年 3月 慶應義塾大学大学院法務研究科法務専攻 修了
  • 平成 20年 11月 最高裁判所司法研修所司法修習生
  • 平成 21年 1月 弁護士登録
  • 平成 22年 1月 西村あさひ法律事務所(~平成23年2月)
  • 平成 23年 3月 大木卓法律事務所(~平成23年 8月)
  • 平成 23年 8月 長谷川法律事務所〔大木卓法律事務所が長谷川法律事務所に合流〕(~令和 4年 1月)
  • 令和 4年 1月 弁護士法人長谷川法律事務所(~現在に至る)
  • 令和 5年 4月 専修大学法科大学院教授
最終学歴慶應義塾大学大学院法務研究科法務専攻(法科大学院) 修了(平成20年3月)
主な研究・活動分野憲法、行政法、情報法、宗教法
専修大学法科大学院赴任にあたって
 これまで弁護士をしながら、慶應義塾大学法科大学院や広島大学法科大学院で公法系科目を教えるなど、公法系教育に力を入れた活動をしてきました。専修大学法科大学院でも、公法系科目、特に行政法科目を中心に担当します。
 公法を得意とする法曹実務家は、まだまだ少ないと感じています。しかしながら、実務において、憲法や行政法が活躍する場面は、意外と多いです。訴訟の中で憲法論を組み立てることも多いですが、訴訟外でも憲法的価値に裏打ちされた公共政策法務を展開すべき場面があります。行政法分野では、行政規制(レギュレーション)対応、行政調査対応、行政手続法上の聴聞や弁明の機会の付与への対応、そして行政訴訟対応に至るまで、多様な業務が存在します。
 こうした公法系実務を担う人材を専修大学法科大学院から多数輩出すべく、尽力して参ります。どうぞよろしくお願いいたします。



令和4年度新任教員(遠藤 輝好教授)
遠藤 輝好教授〔実務家教員〕 
専修大学法科大学院赴任にあたって
 神保町で弁護士をしています。専修大学法科大学院では刑事系の科目を中心に担当します。
 実務家には、時として、判例や既存の理論に抗い、それを乗り越えなければならないことがあります。その際に拠り所となるのは、妥当な結論を支える「価値」なのだと思います。時代を見抜き、大いに「価値」を語る、そういう議論をしたいと思っています。米国の有名な最高裁判事、ルース・ベーダ―・ギンズバーグは、「反対意見は、未来の時代に語りかけます。単に『同僚判事は間違っている、私ならこうする』と言うためのものではありません。優れた反対意見は、未来の判決になることもあるのです。」と述べています。私の大好きな言葉です。
 皆さんとのエキサイティングな議論を楽しみにしています。
令和3年度新任教員(河崎 祐子教授)
河崎 祐子教授〔主な研究分野等:民事手続法、特に倒産法〕 
専修大学法科大学院赴任にあたって 
 倒産法を中心に、民事手続法を理論的に研究しています。
 研究を続けるなかで常に意識していることの一つは、実践に資する法理論を構築できているか、ということです。というのも、倒産事件であれ民事裁判であれ、それに直面し、関わるひとびとの実践に役立ってこそ、法は社会的な意味をもつと考えるからです。
 特に、倒産手続の中核をなす破産手続は、お金が絶対的に不足するなかで、ひとびとの利害と権利関係を適切に「調整」する必要があり、そのための実践的な理論が、「連鎖倒産」の防止という社会的な役割を果たすためにも重要になってきます。
 「コロナ後」の世界においても、こうした「調整」がますます不可欠なものになってくるでしょう。これからのよりよい法の実践とはどうあるべきか、伝統ある「黒門」の一員として、微力ながら研究に教育に邁進していきたい所存です。心地よい緊張感のもと、気持ちも新たに取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
令和2年度新任教員(道垣内 弘人 教授)
道垣内 弘人 教授〔主な研究分野等:民法・信託法〕
専修大学法科大学院赴任にあたって
 民法が専門ですが、関連する法律として、信託法の研究をしています。あるとき、信託はなぜ「信託」というのだろう、という疑問が生じました。Trustという英語の訳であることは明らかですが、それが「信託」と訳されるようになったのはいつのことなのだろうか、ということです。
 それを調べていると、専修大学の前身である専修学校が開学当初から行い始めた通信教育の講義録が、他の法律用語に並んで、「信託」という言葉の成立にも大きな役割を果たしたことがわかり、専修大学が日本における法学教育に占める重要性を再認識しました。
 そのような伝統のある専修大学で教育にあたることができるのは、大変光栄なことです。先人の偉業と大学の歴史に恥じないよう、微力を尽くしたいと思います。

平成31年度新任教員(石田 信平 教授・橋本 正博 教授・早川眞一郎 教授)
石田 信平 教授〔主な研究分野等:労働法〕
専修大学法科大学院赴任にあたって
 北九州市立大学を退職して、本年4月1日に本学に赴任いたしました石田です。主として労働法を担当させていただきます。労働法は、勉強の範囲がやや広く、理論的には、民法、憲法などの基本法の知識を前提としているところもあり、理解にやや時間がかかる側面があるかもしれません。ただ、労働法は、雇用問題という多くの人に関わる領域を対象としているため、法的な紛争が多く、これを学ぶことは実務的に有用であるということができると思います。労働裁判や具体的な事例問題を素材として、皆さんと議論できるのを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。

橋本 正博 教授〔主な研究分野等:刑法〕
専修大学法科大学院赴任にあたって
 法科大学院が設立された2004年度から,教育活動の中心が法科大学院になりました。法学は一般的にそうですが,中でも刑法は抽象的な理論を駆使し,多かれ少なかれ体系的一貫性を重んじる分野です。ともすれば理論の次元で自己完結しがちになる研究者にとって,理論と実務とを架橋し,実務法曹を育てる法科大学院は,適用・運用される生きた刑法を再認識する大きなきっかけになりました。法学教育の伝統を誇る専修大学で引き続き法科大学院の教育に携わることができるのを楽しみにしております。法曹を目指す志を高くもち,緊張感を維持しながらも,自由な議論ができるよう,信頼関係を築いていければ幸いです。
 法科大学院では,学生の志望がはっきりしています。学修にあたっては,上で述べたとおり,現実に「使える」知識を蓄積しなければなりません。理論も問題の解決のためにある。一方で,刑法は,民法に比べれば条文の数も少なくて,核となるような考え方が体得できれば,全体の理解がしやすくなる分野です。刑法に関する知識は,理論の助けを借りることで合理的に獲得していくことができるでしょう。
 法学は,結局,常識を理論にしたものだということができます。いたずらにおそれたり,焦ったりする必要はありません。学生の着実な歩みを手助けしたいと願っています。


早川 眞一郎 教授〔主な研究分野等:国際民事法〕
専修大学法科大学院赴任にあたって
 このたび、縁あって、専修大学法科大学院において教育研究に従事することになりました。
前任校で、何年間か、大学に入って法学を学びはじめた学生に法学入門の授業をしていましたが、そのときに、著名な法律家の手になるエッセイを何編か学生に読んでもらい、社会における法の意味、法律家の仕事と役割等について話すことにしていました。そのようなエッセイのひとつに、私が大学生のときのゼミの先生でいらした平井宜雄先生の「法律家とは何か」という名文があります。このエッセイは、平井先生が古稀の折にそれまでのエッセイをまとめられた『教壇と研究室の間』(2007年)の巻頭を飾るものです。私は、先生のお声が耳元で聞こえるようなこの本を折にふれてひもといて、愛読してきました。とりわけ、このエッセイは、何年もの間、これをもとに学生に法、法学、法律家について話をしてきましたので、片言隻句にいたるまで記憶しているほどです。先生は、このエッセイの中で、法の意味、法律家に求められる資質などについて、情理かねそなえた見事な説明をされています。学生の皆さんも一度是非お読みいただければと思います。ところで、この名文は、その副題に、「専修大学法科大学院入学式での院長挨拶」とありますように、なんと、この専修大学法科大学院の第一期生の入学式における平井宜雄院長のご挨拶として書かれたものでした。

 今般、奇しくも、その専修大学法科大学院で教鞭を執ることになり、誠に感慨深いものがあります。不世出の民法学者でいらした平井先生にはもちろん及びもつかない浅学菲才の身ではありますが、私も、心構えだけは平井先生に負けないよう、教育と研究に微力を尽くすつもりでおります。どうぞよろしくお願いいたします。
平成29年度新任教員(加藤 克佳 教授・米丸 恒治 教授)
加藤 克佳 教授〔主な研究分野等:刑事法学(特に刑事訴訟法学)〕
専修大学法科大学院赴任にあたって
 これまで複数の大学で刑事法(特に刑事訴訟法)の教育・研究に携わって参りました。また,弁護士として若干の刑事実務にも携わっております。これらの蓄積や経験を活かして,法曹養成に真摯に取り組みたいと念じています。
昨今,法科大学院を取り巻く環境は厳しく,法曹養成機関としての鼎の軽重が問われていますが,司法制度改革の大きな一翼を担うものとして,期待されるところも大きいといえます。法曹養成に特化した法科大学院で学修することは,将来の実務法曹として活躍する基礎を養成するうえで有意義であり,かつての法曹には(少)ない,時代の要請に即した機動的・多角的な能力も育むことができるはずです。司法試験へ対応するため学修することは,将来の法曹としての活動を見据えつつ行えば,直ちに今後の糧となります。今般の司法制度改革は,刑事法(特に刑事訴訟法)の分野に新立法等の多くの変化をもたらしました。新たな判例・学説も続々と現れ,学修すべき範囲も広がっています。他方で,変わらない基本事項も多くあります。特に刑事法の根幹に関わる諸問題には,新たな変化に対応するうえでも,しっかり取り組むべきでしょう。
そのような視点から,皆様が法曹としての基礎力を修得することを目指して,講義や演習を担当してゆく所存です。どうぞ宜しくお願い申し上げます。


米丸 恒治 教授〔主な研究分野等:行政法・情報法〕
専修大学法科大学院赴任にあたって
 14年間勤務しました神戸大学大学院法学研究科(法科大学院も兼任)を辞職して、専修大学法科大学院に赴任してきました米丸です。前任校では、法科大学院の立ち上げ時からほぼ毎年、行政法関係の科目である「行政法の基礎」(1L科目)、「対話型演習行政法Ⅰ」、「同Ⅱ」(2L科目)、「公法系訴訟実務の基礎」(3L科目)を同僚と輪番で担当してきました。他の科目に劣らず、行政法も少ないカリキュラムの中で多くの内容を取り扱わざるを得ないばかりでなく、行政法固有の勉強のしにくさ、すなわち、行政法という一般法がないこと、実体法、手続法、争訟法の複数分野を含むこと、個別法が雑多に登場し判例研究等もしにくいことなど、勉強のしにくさには定評のある科目です。しかし、制度や行政法の内容が現状のままであるかぎり、必要十分な内容の授業を皆さんと進めていくことは、私たちの務めであると考えています。
 勉強がしにくいと言われる行政法も基礎から無理なく積み上げることによって、必要十分な実力をつけなければなりません。そのために、多くの判例や事例演習等に慣れ親しむことが非常に大事なことです。ぜひ行政法を好きになって、事例演習も得意になってほしいものです。そのためには、疑問をおろそかにせず、質問にもどしどし来てほしいと思います。皆さんとのコラボで奮闘していきましょう。みなさんの質問、来訪を待っています。よろしくお願いします。