専大日語・コラム
専大日語の教員による、月替わりのコラムです。
2018年11月:オルレアン通信
Bonjour! 今月のコラムは、少し趣向を変えて、フランスからお届けします。
現在、オルレアンという街に来ています。ジャンヌ・ダルクで有名なオルレアンは、パリから南西に130キロ、特急電車で1時間ほどの場所にあります。古い時代の面影を随所に残す、美しい街です。
1968年、当時のオルレアンで話されているフランス語を録音して集め、“ESLO”という話し言葉コーパスが作られました。その誕生50周年を祝って、現在、国際シンポジウム「音声コーパスに基づく言語研究の50年:変異研究への貢献」が開催されています(ウェブサイト)。フランス国内をはじめ、ヨーロッパ・北米を中心に参加者が多数集まり、たいへん盛りあがっています。
私は、1日目に「Diachronic Change of Spoken Japanese in the 20th Century: A Corpora-based Study(20世紀における日本語話し言葉の変化:コーパスに基づく分析)」というタイトルで研究発表をしました。20世紀の100年間に、日本語の話し言葉がどのように変化してきたかを、実際の録音資料に基づいて明らかにしようという研究です(興味のある人は、こちらの論文も参照してください)。
清水康行先生(日本女子大学)のご研究によると、最も古い時代に録音された日本語は、1900年の7月、当時開催されていたパリ万博で録音されたものであるとのこと。フランス国立図書館のウェブサイトからは、蝋管レコードに録音された当時の音声を聞くことができます(例えばこちら)。100年以上も前の日本語の話し言葉、ぜひ聞いてみてください。
休み時間に、街を散策してみました。素敵な景色を、少しおすそ分けします。(クリック・タップで拡大します)
こちらがシンポジウムの会場。17世紀(!)に建てられた建物を改装したホテルです。
会場へ続く階段。以下にもヨーロッパの雰囲気。
熱心な議論が続きます。大半はフランス語の発表ですが、キーワードを拾えば、何とか理解できます(でも、きちんとフランス語を勉強しなくちゃ)。
街の中心、マルトロワ広場にある、ジャンヌ・ダルクの像。冬場だけ観覧車が設置されるとのこと。
街のシンボル、オルレアン大聖堂。
横から見た大聖堂。たくさんの尖塔が印象的です。
中は荘厳な雰囲気。
ジャンヌ・ダルクの生涯が、ステンドグラスで表現されています。フランスを救った後、火刑にされるジャンヌ。
街にはトラムが走っています。
街のいたるところにパン屋さんが。もちろん絶品!
古い街並みが続きます。歩いていて、とても気持ちがよいです。
この日はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日でした。安!
街を流れるロワール川。
晩秋のオルレアンの、美しい風景。霧が出ると、冬の始まりだそうです。
以上、オルレアンからの報告でした。それではみなさん、Au revoir!
<参考文献>