<講義の狙いと他科目との関連>
世の中にはたくさんの興味ある形が見られる。惑星の動き方、雪の結晶、蜂の巣の形、ムカデの足の動き方、流体の流れなどなどいくらでもある。
その形の現れる現象を真に理解するためには、その背後に隠れている本質的な部分をカラクリとして抽出する必要がある。そこで初めてその形がなぜ現れるのか、他の可能性はないのか、異なる環境ではどうなるのか、ということに答えることができる。そのカラクリを表現する言葉は数学であり、したがってその抽出したカラクリのことを「数理モデル」と言ったりする。最初に大きな成功を収めたのは惑星の軌道の形を記述したニュートンであり、現在もその世界観の影響下にある。
この講義の目的は、現象を解析するための幾何学的な考え方の基本を学ぶことである。数理モデルは微分方程式というもので表現されることが多い。しかし、ほとんどの微分方程式は式の形で解くことはできないので、微分方程式そのものや解を幾何学的(定性的)に捉えていく必要がある。そのような分野は「力学系の理論」と言われている。したがって、この講義はその入門と考えられる。
この講義に最低限必要な予備知識は、大学1,2年レベルの基礎解析と線形代数であり、必須である。
<講義進行予定>
- 現象と数学との関係、現実世界と数理モデル
- 微分方程式とは?
- 単純な固体数増加モデルとその幾何学的解(相直線図)
- 1階微分方程式とそのベクトル場・相直線図・勾配場の関係
- パラメータ付き1階微分方程式と分岐図
- ロジスティック個体数増加モデル
- 捕獲のある場合のパラメータ付き個体数増加モデルと分岐図
- 2階微分方程式と多変数微分方程式系の関係
- 2変数線形微分方程式系とそのベクトル場・方向場・相平面図の関係
- 線形微分方程式系の解と行列の固有値・固有ベクトルの関係
- 線形微分方程式系の解と幾何学の一般論
- 非線形微分方程式系の解と幾何学的振る舞いについて
- 期末テスト
<テキスト・参考文献>
参考文献:
力学系入門、ハーシュ・スメール、岩波書店
自然の数理と社会の数理I−微分方程式で解析する−、佐藤総夫、日本評論社
経済と金融の数理‐やさしい微分方程式入門‐、青木憲二、朝倉書店
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