スウェーデン・養育費補助法
[Lag (1996:1030) om underhållsstöd]
1996年10月31日日公布 1997年12月1日施行
改正:1996:1030,1996:1350,1998:104,1999:396,1999:822,1999:1296, 2000:1390,2000:1397,2001:1137,2002:204,2002:1079.
総 則(Inledande bestämmelser)
第1条 養育費補助給付(undehållsstöd)は、本法の規定によって子どもに支給される。
本法の適用対象となる者は、「社会保険法」[Socialförsäkrinigslagen(1999:799)]に定める。スウェーデン国外に居住している者の養育費補助給付の受給権及び受給権に関する問題に関しても社会保険法に定める。(lag 2000:1391)
第2条 本法において養育費支払い義務親(bidragsskyldig)とは、親子法第7章第2条第1項の規定によって、自分の子どもに対して養育費(underhållsbidrag)を支払うことによって扶養の義務を履行する者のことをいう。社会福祉委員会の許可(socialnämndens medgivande)を得て、自己の養子とすることを目的として外国人の子どもを引き取って永続的に世話している者は、本法においては、子どもの監護者となっている親と同様に取り扱われる。
養育費補助給付の支給要件(Förutsättningar för att underhållsstöd skall lämnas)
第3条 両親が別居している場合、その子どもは養育費補助給付を受給することができる。子どもが養育費補助給付を受給するためには、更に、養育費補助給付の支給対象となる子どもが両親のいずれか一方の親と継続的に住居を同じく子、且つその親(同居親)の許に住民登録をおいていること、及び子どもが未成年者の場合には、同居親がスウェーデン国内に居住し、且つ養育費補助給付の支給対象となる子どもが同居親の監護に服していることが必要である。
養育費補助給付の支給対象となる子どもが別居している両親と交互に、継続的に生活を共にしている場合、子どもが父母いずれか一方の許に住民登録をおいている場合であっても、子どもは養育費補助給付を受けることができる。交互居住子が養育費補助給付を受けるために、その外に、子どもが未成年者の場合、養育費補助給付の受給申請を行う親がスウェーデン国内に居住し、且つ父母の双方またはそのいずれか一方が子どもの監護者になっていることが必要である。
子どもがスウェーデン国内に居住している1人または2人の選定監護者(särskilt förordnade vårdnadshavare)の許に居住し、且つその監護者の許に住民登録をおいている場合、子どもが18歳に達してとき、スウェーデン国内に居住する子どもの監護者の許に居住している場合、子どもは、養育費補助給付を受けることができる。その場合、本法において子どもと生活を共にしている親について述べられていることは、特別に選任されている監護者についても適用される。
この場合、本法第4条第1号及び第5条の規定は適用されない。(lag 1999:82, lag 2000:1391)
第4条 次に掲げる場合、子どもは養育費補助給付を受けることができない。
1.母親が子どもと同居している場合で、且つ明らかに、正当な理由なしに(utan giltigt skäl)、母親が子の父を探さず、また父性の確定のための手続きに協力しなかった場合
2.子どもに対する養育費の支払い義務親がいる場合で、且つその者が、確実に、本法によって子どもに支給される養育費補助給付を下回らない養育費を支払っているとみなされる事由がある場合
3.子どもに対する養育費の支払い義務親が、別の方法で、明らかに子どもが養育費補助給付に相当する養育費の支払いを受けているとみなしている場合
4.子どもと同居している親が、正当な理由なしに、本法第31条第1項の規定によって同居親に課されている行為を行わず、またはその行為を行うことに協力しなかった場合なかった場合、
5.子どもが「遺族年金及び遺児補助に関する法律」[Lagen (2000:461) om efterlevnade pension och efterlevandestöd till barn」第2章、第3章の規定に基づいて、養育費支払い義務親の死亡後、遺児年金または遺族年金の受給権を取得した場合 (lag 2002:204)
第5条 養育費補助給付の支給対象となる子どもの両親が同一住所において住民登録を行っている場合、養育費補助給付の受給申請を行う者または支給される養育費補助給付の受取人(den som begär underhållsstöd eller som stöd betals ut till)から、別のことが示されない限り、両親は同一住所に居住しているものとみなされる。両親が婚姻している場合、両者が異なる住所において住民登録を行っている場合であっても、養育費補助給付の受給申請を行う者または支給される養育費補助給付の受取人から、その事実証明が行われない限り、両親は同居しているものとみなされる。
諸般の状況からみて、両親が同居しているとみなされる場合、養育費補助給付の受給申請者または養育費補助給付の受取人は、両者が同居していないことを証明しなければならない。
第6条 養育費補助給付は、両親が別居した月、または養育費補助給付の受給権が発生した月の翌月から支給される。但し、申請月の1ヶ月以上前に遡って支給することができない。
養育費補助給付は、養育費補助給付の支給対象となっている子どもが18歳に達する月、または養育費補助給付の受給権が消滅する月の前月まで支給される。
第7条 子どもが18歳に達したとき、「延長児童手当法」[Lag (1986:378) om förlängt barnbidrag]の規定により延長児童手当の給付を受けている場合、または「教育補助法」[Studiestödslagen (1999:1395)]第2章の規定によって教育補助給付の支給対象となる教育を受けている場合、その期間、延長養育費補助給付(förlängt underhåll sstöd)を受けることができる。但し、その期間は子どもが満20歳に達した年の6月までとする。教育期間が8週間に及ばない場合、または随時時間教育の場合、養育費補助給付は支給されない。
第4条に規定されている場合、子どもは延長養育費補助給付を受けることができない。その際、第4条第1号、第4号に規定されていることは、学生(den studerande)についても適用される。また学生が婚姻した場合、学生は延長養育費補助給付の受給権を失う。
延長養育費補助給付は、学生が18歳に達した月の翌月、また復学した日の翌月からその受給権が消滅する月まで支給される。但し、延長養育費補助給付の支給開始時期は、延長養育費補助給付の受給申請の行われた月の1ヶ月以上前に遡ることができない。(lag 2001:1137)
養育費補助給付の支給額(Underhållsstödets storlek)
第8条 養育費補助給付は、1人につき、月額1、173クローネとする。養育費支払い義務親(bidragsskyldig förälder)が、確実に、最低限、第24条乃至第28条の規定によって決定される返還額相当の養育費を子どもに支払っているとみなされる事由ある場合、その分を養育費補助給付から減額して支給することができる。
養育費補助給付の受給申請者からそのことが請求された場合、養育費補助給付は、同居親でない親の年間所得に第24条乃至第28条の規定が適用された場合に確定される返還額相当額を減額して支給することができる。
交互居住(vaxelvis)の場合、両親に支払われる養育費補助給付は、それぞれ1人、1ヶ月、1,173クローネの半額とする。但し、その場合、養育費補助給付は、それぞれの年間所得に第24条乃至第28条の規定が適用されたならば確定されたであろう返還額の2分の1相当額が減額され、支給される。
子どもが1人または2人の選定監護者の許に居住している場合、または子どもが18歳に達したとき、過去に監護者であった者の許に居住している場合、第1項に規定されている養育費補助給付の倍額が支給される。(lag 2000:1390)
第9条 養育費(underhållsbidrag)が親子法の規定によって一括払いの形で確定されている場合、確定されている養育費のうち、毎月の養育費(underhåll)に相当するであろうとみなされる額が養育費補助給付から減額して支給される。
養育費支払い義務親がスウェーデン国外に居住し、且つその者が確実に所定の養育費を支払っているとみなされる事由がある場合、養育費補助給付は、第8条第1項後段の規定に代わって、その分が減額して支給される。
第10条 第25条乃至第27条の規定が適用された場合、子どもに所得が生ずるような収入がある場合、養育費補助給付は、その所得の2分の1相当額を減額して支給される。尚、その場合、第26条第2項に規定されている基礎控除分は、48、000クローネとする。
交互居住の場合、両親に支払われる養育費補助給付は、第1項の規定によって減額された金額の2分の1相当額が減額され支給される。
第23条第2項の規定によって、養育費支払い義務親が、養育費補助給付の返還に際し、一定の減額控除が認められた場合、それ以後に支払われる養育費補助給付は、その減額分を控除して支給される。(lag 2000:1390)
第11条 次に掲げる場合、その月については、養育費補助給付は支給されない。
1.子どもが正味、1ヶ月間、国の負担で保護施設に収容されていた場合、または食事、住居の給付を受けていた場合
2.子どもが正味、1ヶ月間、「機能障害者サービス法」[Lag(1993:387)om stöd och service till vissa funktionshindrade.]の規定によって、青少年に対して特別のサービスを行うファミリホーム(familjehem)に滞在していた場合
3.子どもが、正味1ヶ月間、ファミリホームまたは社会福祉行政施設(hem för vard eller boende inom socialtjänsten)において保護されていた場合
申請と決定(Ansökan och beslut)
第12条 養育費補助給付は、子どもと生計を共にしている親から社会保険金庫(den allmänna försäkringskassan)に対して行われた書面による養育費補助給付受給申請に基づいて支給される。交互居住の場合、養育費補助給付の受給申請はそれぞれの親によって個別的に行わなければならない。延長養育費補助給付の受給申請は養育費補助給付を受けようとする学生によって行われる。
養育費補助給付受給申請書には養育費補助給付の支給の可否を判断するために必要な事項を記載し、且つ受給申請者は、記載されている事項が良心に基づき、誠実に記載されていること(på heder och samvete)を誓約しなければならない。申請者自らがその誓約を行うことができない場合、記載事項に誤りのないことを保証できる信頼すべき2人の保証人による認証を受けなければならない。(lag 2000:1390)
第13条 第8条第1項、第2項または第4項の規定によって養育費補助給付の受給申請が行われたとき、社会保険金庫は、養育費支払い義務親の住所が判明している場合、またはその所在地を知ることができる場合、直ちに、養育費支払い義務親に対して、養育費補助給付の受給申請が行われたことを通知しなければならない。通知には、養育費補助給付の受給申請に対して異議ある場合、または第21条に規定されている養育費補助給付の返還義務に関して異議ある場合、所定の期間内に、書面または口頭で意見を述べることができる旨を記載しておかなければならない。またその注意書には、第3条、第4条、第8条乃至第10条及び第21条乃至第28条の規定についても記載しておかなければならない。(lag 2000:1930)
第13a条
第8条第3項の規定によって養育費補助給付の受給申請が行われた場合、社会保険金庫は、その住所が判明している場合、または知ることができる場合、直ちに他の一方の親に受給申請の会ったことを通知しなければならない。通知にはその申請に対して何らかの意見がある場合、所定の期間内に口頭または書面をもって意見を述べることができる旨を付記しておかなければならない。また、通知には、第3条、第4条、第8条乃至第10条及び第24条乃至第28条の内容を記載しておかなければならない。(2000:1390)
第14条 社会保険金庫において養育費補助給付に関する決定が行われたとき、社会保険金庫は、書面によって、その決定結果を受給申請者に通知しなければならない。養育費補助給付の支給が認められたとき、その通知には第18条及び第20条に規定されている内容を記載しておかなければならない。
養育費補助給付の支給と返還義務に関する決定は養育費支払い義務親に対して通知しなければならない。通知には本法第23条、第29条及び第30条及び親子法第7章第2a条に規定されている内容を記載しておかなければならない。
第15条 直ちに、養育費補助給付を支給すべき者を決定できないが、しかし、確かに、養育費補助給付を受ける権利が存在していると認められ、且つ養育費補助給付が子どもにとって明らかに重要な意味をもっている場合、その問題に対して最終的な結論がでるまでの間、社会保険金庫は相当とみなされる限度において、養育費補助給付の支給を決定することができる。
後日、養育費補助給付を支給する必要のなかった判明した場合、または支給額が第1項の規定によって決定された支給額よりも少ない額であった場合、養育費補助給付の支給を受けた者は、次に規定されている場合を除いて、既に支払われている養育費補助給付を返還することを要しない。
1.虚偽の資料を提供することによって、または資料の提供もしくは届け出義務を怠ることによって、もしくはその他の方法によって誤った支払いの原因を作ったとき、
2.養育費補助給付の受取人が、その他の場合において、養育費補助給付の支払額に誤りのあることを知り、または知りうべかりし場合
第2項に規定されている場合であっても、相当の事由ある場合、返還義務の全部またはその一部を免除することができる。
支 給(Utbetalning)
第16条 養育費補助給付は、毎月、社会保険金庫から、充当月の初日前に支給される。1人の子どもに支払われる金額が1ヶ月つき、50クローネ未満の場合、養育費補助給付は支給されない。その他の場合、支給額に1クローネ未満の端数が生じた場合、1クローネ未満は1クローネとして計算される。
養育費支払い義務親(en bidragsskyldig foralder)が、第14条の規定に規定されている返還義務に関する決定通知を受け取る前に、ある月の養育費について支払いを行った場合、その分は、当該月の養育費補助給付から控除される。
所定の支払い月に払い込まれた養育費補助給付がその支払い月の末日から6ヶ月以内に受領されていない場合、その養育費補助給付を支払うことができない。(lag 2000:1390)
第17条 養育費補助給付は子どもと生計を共にしている親に対して支払われる。子どもの共同監護者として2人の選定監護者が選任されている場合、養育費補助給付は女性の監護者に支払われる。但し、監護者がそのことを希望する場合、男の監護者に支払われる。選定監護者が性を同じくしている場合、養育費補助給付は年長の監護者に支払われる。但し、要望がある場合には若年の監護者に支払うこともできる。
延長養育費補助給付は学生本人に対して支払われる。
相当な事由がある場合、養育費補助給付は、社会福祉委員会の提案に基づいて、子どものために養育補助費を利用することのできる者または社会福祉委員会に対して支払われる。(lag 2002:608)
状況変更の報告義務(Anmälningsskyldighet)
第18条 養育費補助給付の支払いを受ける者は、養育費補助給付の権利及びその額に影響を及ぼす事情について変動が生じた場合、その都度、報告しなければならない。報告は養育費補助給付の支給を受けている者が事情の変更を知ったとき、または事情の変更があることを知ったとき、社会保険金庫に対して行う。
決定の変更(Ändring av beslut)
第19条 養育費補助給付の支給を停止すべき事情が生じた場合、またはより低い額の養育費補助給付を支給すべき事情が生じた場合、社会保険金庫は養育費補助給付の支給を停止し、または支給額の減額を決定することができる。
養育費補助給付の支給停止または減額すべき相当の事由ある場合、社会保険金庫は、最終決定が行われるまでの間、一時的に養育費補助給付の支給を停止し、または減額支給の決定を行うことができる。
誤払いまたは過払い養育費補助給付の返還請求(Återkrav)
第20条 誤って養育費補助給付が支払われた場合、または法定額を超えて養育費補助給付が支払われた場合、社会保険金庫は、養育費補助給付を受給した者に対して不当に支払われた養育費補助給付の返還を命じなければならない。但し、特別の事由ある場合、社会保険金庫は返還義務の全部またはその一部を免除することができる。
後日、社会保険金庫が養育費補助給付の返還義務者に対して養育費補助給付、その他償還金の支払いを行う場合、社会保険金庫は、養育費補助給付の受給者に対して支払われる養育費補助給付から、第1項の規定によって社会保険金庫に返還されるべき額を控除して支給することができる。
養育費支払い義務親による受給養育費補助給付の返還義務(Återbetalningsskyldighet för den bidragsskyldige)
第21条 子どもに対して養育費補助給付が支払われ、且つ養育費支払い義務親がいる場合、養育費支払い義務親は、子が受給した養育費補助給付の全部またはその一部を国に返還しなければならない。返還義務(återbetalningsskyldigheten)は、第24条乃至第28条の規定によって養育費補助給付の支給決定が行われたとき、または支給決定が行われた後、可及的速やかに、社会保険金庫によって決定される。
第8条第1項後段または第8条第2項の規定が適用される場合、もしくは親子法の規定によって養育費の支払い義務が一括払いの形で確定されている場合、養育費補助給付の返還義務に関する決定は行われない。養育費支払い義務親がスウェーデン国外に居住し、且つそのために、第31条の規定の適用が考慮される場合、返還義務を確定することを要しない。
社会保険金庫が第31条の規定によって子に代わって扶養料請求権(rätt till underhållsbidrag)を行使している間、返還義務の決定は行われない。また第13条の規定によってその決定が養育費支払い義務親に通知された日から3年を経過した養育費返還義務についてもまた同様である。(lag 2000:1390)
第22条 第15条の規定によって養育費補助給付の支給に関して暫定的決定が行われた場合、社会保険金庫は、最終決定が行われるまでの間、養育費支払い義務親の返済義務を決定する。
子どもの父性確定に関する裁判の進行中、養育費補助給付が1人の子どもに支給されたとき、子どもの父と指摘されている者が子の父とみなされる相当の事由がある場合、その者が返還義務を負担する。但し、その訴訟に複数の男が被告として訴えられている場合には返還義務の決定は行われない。返還義務が最終的に第1項または第2項の規定によって同じ期間に支払われていた金額より少なく決定された場合、その差額は養育費支払い義務親に支払われる。最終的返還義務がより多く決定された場合、養育費支払い義務親は、その差額を社会保険金庫に支払わなければならない。
子の父とみなされた者に対して、返還義務が確定された後、その者が子の父でないことが判明した場合、父とみなされた者は、自己の支払った返還分と利息法[Räntelagen (1975:635)]第5条に規定されている利息分の返還を求めることができる。
第23条 第21条または第22条の規定によって、国に返還されるべき返還額は、毎月、カレンダー月のはじまる前に社会保険金庫に払い込まなければならない。但し、養育費が返還義務に関する決定が養育費支払い義務親に通知される前に子どもに対して支払われた場合、その養育費は、子どもに支給される養育費補助給付に対応する限度において、社会保険金庫に払い込まれる返還額から控除することができる。
養育費補助給付の支給対象となっている子どもが、継続して5日以上、または1カレンダー月に6日以上、養育費支払い義務親の許に滞在していた場合、養育費支払い義務親は、返還額の支払いに際し、親子法第7章第4条第1項の養育費に関して規定されているところにしたがって、社会保険金庫が定めた滞在費控除特権を受けることができる。但し、滞在費控除は、子どもの滞在期間が終了したカレンダー月の末日から3ヶ月以内に社会保険金庫に滞在報告を行った場合においてのみこれを認めることができる。(lag 1998:324)
第24条 第21条に規定されている返還義務は、養育費補助給付を受けている子どもについて、毎年、年額をもって定められる。その金額は、次に定める養育費支払い義務親の年収のパーセントをもって計算される。そのパーセンテージを決める場合、親子法第7章第1条の規定によって養育費支払い義務親が養育費を支払っている子ども全体の数を考慮しなければならない。
養育費支払い義務親が親子法第7章第1条の規定によって、1人、2人または3人の子どもに対して養育費の支払い義務を負っている場合、そのパーセンテージは、子どもが1人の場合は、14パーセント、子どもが2人の場合は11、5パーセント、子どもが3人の場合は10パーセントとする。子どもの数が3人を超える場合、そのパーセンテージは、3人を超える子どもの数に30を足し、その和を養育費支払い義務親が扶養している養育子の総数で割って得られた数とする。そのパーセントは、小数点以下2桁まで数とする。
1人の子どものための返還義務は、返還月に子どもに支払われる1ヶ月分の養育費補助給付を上回ることができない。
1ヶ月間に子どものために支払われる返還額に、1クローネ以下の端数が生じた場合、その端数は切り捨てられる。1ヶ月間の子どものために支払われる返還額が100クローネに満たない場合、返還義務は消滅する。(lag 1999:396)
第25条 第24条に規定されている養育費支払い義務親の年間所得は、返還義務が予定されている年度の2月直前に決定された「税法」[Taxeringslagen (1990:324)] 第4章第2条に定められている最終決定課税額と次に掲げる余剰金をもって計算される。
1.「所得税法」[Inkomstskattelagen(1999:1229)]第10章第16条に規定されている勤労所得(inkomstslaget tjänst)の剰余金
2.第2項の規定によって計算された資産所得(inkomstlaget kapital)の剰余金(overskott i inkomstslaget kapital)
3.第3項の規定によって計算された事業所得(inkomst av naringsverksamhet)の剰余金
所得税法第41条第12条に規定されている資産所得(inkomstlaget kapital)の余剰金または損失額は、収入から次に掲げる控除を行った後、加算される。
1.所得税法第42条第1条に規定されている所得として計上した利益金の部分に相当する損益控除分
2.住宅交換に際しての所得税法第47章に規定されている特別控除額(uppskovsavdrag)
所得税法第14章第21条に規定されている事業所得の損益金は次に掲げる控除額をもって加算される。
a)所得税法第40章の規定によって行われた前年度損益金の控除額
b)「国民保険法」[Lagen (1962:381) om allmän försäkring]第1章第6条に規定されている1 1/2バースベロップまでの自己年金の納付のための所得税法第16章第32条の規定による控除額
c)所得税法第30章の規定による暫定積立金控除額(avsättnig till periodiseringsfond)
d)次に掲げる控除額をもって減額された所得税法第34章の規定による拡大準備積立金掛け金控除額(avsättning till expansionsfond)
a)暫定積立金返還控除額
b)拡大準備積立金掛け金返還控除額(återfört avdrag för avsättning till expansionsfond) (lag 2002:312)
第26条 第25条の規定によって計算された金額に次に掲げる金額を加算しなければならない。
1.学費補助の形の支給される奨学金(studiemedel)及び成人学生に支給されるリクルート助成金(rekryteringsbidrag)
2.養育費支払い義務者の課税対象額が1,500,000クローネを超える場合、1,500,000クローネを超える部分の1パーセント相当額
以上の方法によって計算された金額から72,000クローネが減額された残額が返還額の計算の基礎となる所得を構成する。(lag 200:1076)
第27条 過去の返還義務が確定されるとき、第25条に規定されている所得計算の基礎として、返還義務が発生した当該月の課税決定額を基準として計算される。
第28条 養育費支払い義務親が前条の規定によって計算された所得に対応する額を著しく超過する所得を取得する稼働能力をもっているということが明らかで、且つその者がその稼働能力が利用されないという納得できる理由を示さない場合、返還額は、第25条乃至第27条の規定に関係なく、相当とみなされる額をもって決定される。
第29条 社会保険金庫は、養育費支払い義務親が養育費補助給付の返還義務を履行しない場合、遅滞なく、遅滞なく強制徴収手続き講じなければならない。
第30条 第24条乃至第28条の規定によって確定された返還額は、毎年、課税率が改訂されたとき、及び第24条に規定されている適用パーセンテージの基礎に変更が行われたとき、再審理されなければならない。
期間の限定されている返還義務もまた、養育費支払い義務親の申請に基づいて、または社会保険金庫の判断の基準におかれている課税額が著しく変更されたときは社会保険金庫の発議によって改訂が行われる。返還義務が前の決定によって養育費支払い義務親が支払うべき低い額が定められたとき、その差額及び差額に生じた利息は、その金額が100クローネを超える場合、養育費支払い義務親に返還される。返還義務が前に決定された額よりも高く定められた場合、養育費支払い義務親はその差額を社会保険金庫に返還しなければならない。
養育費支払い義務親がスウェーデン国外に居住している場合、返還義務に関する決定の全部または一部を取り消すことができる。(lag 1999:396)
第31条 養育費支払い義務親がスウェーデン国外に居住し、且つ養育費の支払額が確定されている場合、社会保険金庫は、子どもに支払われている養育費補助給付の限度において、養育費支払い義務親に対して、子どもに代わって養育費の取り立てを行うことができる。養育費が確定されていない場合、社会保険金庫は、子どもと生計を共にしている親に対して養育費の確定を行い、または養育費確定のための手続きに協力を求めることができる。子どもと同居している親は、社会保険金庫から請求があった場合、社会保険金庫に対して、養育費の強制回収の基礎となる養育費支払い契約書を提出しなければならない。子どもが18歳に達している場合、本項の規定は、子ども本人に対して適用される。
前項に規定されている事項に関しては、第23条、第29条及び第32条乃至第35条、第37条第3項の規定も適用される。その場合、返還義務について述べられていることは、確定された養育費を社会保険金庫に支払うべき義務について適用される。但し、社会保険金庫への支払いは、養育費が支払期日に達していることが必要である。
社会保険金庫は、子どもに代わって子どもの訴訟を提起する者に対して、本条の規定によって社会保険金庫がもっている支払請求と関連して、養育費補助給付を超える未払い扶養料の一部を請求すべき機会を与えなければならない。(lag 2000:1390)
返還義務の猶予(Anstand)
第32条 養育費支払い義務親から、返還すべき養育費補助給付の返還義務猶予の申し立てが行われた場合、社会保険金庫は返還すべき養育費補助給付の全部またはその一部について返還義務を猶予することができる。返還義務の猶予は、返還義務者が自己及び自己の家族の生計を維持するに必要とする財産を確保するために必要とみなされる限度においてこれを認めることができる。返還義務の猶予を認める場合、「強制執行法」[Utsökningsbalken]第7章第4条及び第5条の留保額に関する規定(bestämmelserna om förbehållsbelopp)が適用される。また養育費支払い義務親の個人的または経済的事情もしくはその他特別の事情から見て、そのことが相当と認められ場合、社会保険金庫は返還義務の猶予を認めることができる。
第33条 返還義務の猶予期間は最高1年とする。
返還義務猶予の対象となっている返還義務は、後で支払われる返還分に先だって返還しなければならない。養育費支払い義務親は、返還義務の猶予期間経過後、養育費支払い義務親の所得額に第24条乃至第28条の規定が適用される場合、ある月について、確定された返還分、もしくは確定されるべき返還分の月額を超えて社会保険金庫に払い込むことを要しない。返還額が返還義務猶予の額を超える場合、その超過額については、別に改めて返還義務の猶予を求めなければならない。
第34条 社会保険金庫は、事情の変更によって返還義務猶予の全部またはその一部を取り消し、または変更する必要が生じた場合、返還義務猶予を取り消し、または変更を命ずることができる。返還義務猶予が認められている場合、その者は、返還義務猶予の事由となっている事情について変更が生じた場合、社会保険金庫に対して変更状況を報告しなければならない。
債務免除(Eftergifti)
第35条 社会保険金庫は、養育費支払い義務親の個人的、または経済的事情を考慮して(med hänsyn till den bidragsskyldiges personliga eller ekonomiska förhållanden)相当と見なされる事由(synnerliga skäl)がある場合、本人からの申し立てによって、返還義務及び延滞金の全部またはその一部の返還を免除することができる。子どもの父性が認知または判決によって確定され、且つ父性の確定が行われる前に、第21条の規定によって返還義務が決定された場合、社会保険金庫は養育費支払い義務親からの申し立てによって、相当の事由があるとみなされる場合、その期間の国の返還請求権を免除することができる。(lag 2002:312)
利 息(Ränta)
第36条 養育費支払い義務親が所定に期間内に定められていた返還額を支払わなかった場合、または返還猶予を認められている返還額の支払いを行わなかった場合、その債務に対して、延滞金を付さなければならない。但し。遅延期間が短い場合、社会保険金庫は、延滞金の支払いを免除することができる。政府は、毎歴年のはじめに、翌年度の利息を決定しなければならない。
養育費支払い義務親から払い込まれた金額から、最初に遅延利息を控除しなければならない。
管轄社会保険金庫(Behörig försäkringskassa)
第37条 本法に規定されている養育費補助給付に関する問題は、社会保険法第5章の規定によって子どもと一緒に住んでいる親に関する問題を取り扱う社会保険金庫において審査される。
交互居住の場合には、本法に規定されている養育費補助給付の問題は、子どもが国民登録を行っている親に関する問題を取り扱う社会保険金庫によって審査される。
子どもが18歳に達している場合、問題は子どもに関する問題を取り扱う社会保険金庫によって審理される。
返還義務及び第10条第3項に規定されている養育費補助給付の減額に関する問題は、養育費支払い義務親に関する問題を取り扱う社会保険金庫において審査される。(lag 2002:312)
異議の申し立て(Överklagande)
第38条 本法による決定は、決定に別段の定めがない限り、直ちにその効力を生ずる。
再審、社会保険金庫の決定変更及び社会保険金庫の決定に対する異議の申し立ては、本法に規定されている事件にも適用される。(lag 1998:104)
その他の規定(Övrigt)
第39条 養育費補助給付受給権は譲渡または強制執行の対象とすることができない。
第40条 本法に規定されている決定通知については、「公示催告に関する法律」[Delgivningslagen (1970:428)]第15条の規定は適用されない。(lag 1998:1770)
第41条 返還義務及び延滞金に関する決定は、強制執行法の規定によって執行することができる。
第42条 社会保険法局(Riksförsäkringsverket)の社会保険金庫の監督に関する国民保険法に定められている規定は、本法に規定されている社会保険金庫の養育費補助給付業務の問題についても適用される。
国民保険法に定められている次の規定は、本法における問題に対しても適用される:
社会福祉行政法による給付と援助の符号に関する第17章第1条
補償金の没収と引き下げ(indragning eller nedsättning)に関する第20章第3条
資料提供義務に関する第20章第8条第1項乃至第3項及び第9条
調査措置(utredningsåtgärder)に関する第20章第8条第4項
資料提供義務に関する第20章第8条第1項乃至第3項及び調査措置に関する第20章第8条第4項の規定は、養育費支払い義務親に対しても適用される。(lag 1997:286)
第43条 政府(Regeringen)は、
1.本法の拡大適用について、他の国と協定を締結し、且つまた、
2.政治的亡命をしている子どもが本法において他の子どもと同じような権利をもつことを定めることができる。
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経過規定(Övergangsbestämmelser)
1996:1030
1.この法律は、1996年12月1日から施行し、1997年1月31日以降の養育費補助給付及び返還義務に関する問題から適用される。
2.この法律をもって「養育費立て替え払い法」[lagen (1964:143) om bidragsförskott]及び「学校生徒のための延長養育費立て替え払い法」[Lag(1984:1095)om förlängt bidragsförskott för studerande]及び「養子に対する特別補助法」[Lagen (1984:1096) om särskilt bidrag till vissa adoptivbarn]は廃止される。廃止された法律によって支給されている養育費補助給付及び補助は、1997年2月1日まで支給される。
3.廃止された上記法律によって支給されている養育費補助給付及び補助については継続して廃止された法律が適用される。
4.廃止された、上記、法律によって1997年1月分として受給した養育費補助給付、補助を受給した者は、別に法律に特別の規定がない限り、新しい法律によって養育費補助給付受給権を取得したものとみなされる。但し、社会保険金庫において別段の決定を行っている場合にはその限りでない。養育費支払い義務親の返還義務に関する決定は、新しい法律によって決定されたものとみなされる。
5.新しい法律によって行われた返還決定によって返還を命じられた金額は、養育費補助給付法第36条第2項による控除が法定利息のために行われた後、廃止された法律によって生じた債権の上で控除される。
1996:1350
この法律は1998年1月1日から施行する。但し、旧法第26条第1項に定められている規定は1996年以前までに課税対象となっていた財産及び1998年以前までに発生した所得に対して継続して適用される。(lag 1997:1318)
1998:104
この法律は1998年7月1日から施行される。本法の施行以前に決定された再審の問題に対しては旧法の規定が適用される。
1999:396
1.この法律は1999年11月1日より施行され、且つ2000年1月31日後の返還義務の問題に最初に適用される。
2.資産からの養育費支払い義務親の所得が「住居交換の際の支払い猶予法」[Lagen (1993:1469)om uppskovsavdrag vid byte av bostad]の規定によって事前に支払い猶予が認められた結果として増加した場合で、且つそのこう魚が旧規定の第25条による返還義務の確定の基礎とされた課税の際に認められている場合、資産所得は支払い猶予控除額まで減額される。
1999:822
1.この法律は2001年4月1日から施行される。しかし2001年3月31日以降に予定されている養育費補助給付については最初に適用される。
2.2001年4月前の間は、養育費補助給付法の改正に関する規定に従って、第3条、第37条及び施行及び施行規則が適用される。
3.2001年3月の間、交互居住に関する養育費補助給付を受給した者は、特別の申し立てなしに、社会保険金庫において別段の決定が行われていない場合、新法の規定が適用される。
1999:1296
この法律は2000年1月1日から施行され、且つ2002年度の課税問題に最初に適用される。
2000:1390
1.この法律は2001年1月1日から施行される。但し、2001年3月31日以降の受給を予定している養育費補助給付問題に最初に適用される。
2.旧規定は2001年4月1日前の養育費補助給付問題に継続して適用される。
3.2001年3月の間、交互居住に対して養育費補助給付を受給している者は、特別の申し立てなしに、社会保険金庫が別段の決定を行わない限り、新規規定によって養育費補助給付を受給することができる。
2000:1397
1.この法律は2001年1月1日から施行される。
2.旧規定は両親が離別、または養育費補助給付受給権が2001年1月1日前に生じた場合、養育費補助給付の受給申請に適用される。
2001:1137
1.この法律は2002年1月1日から施行される。
2.旧規定は最終的に本法施行前に打ち切られる延長養育補助給付の受給権に対して継続して適用される。
2002:204
1.この法律は2003年1月1日から施行される。
2.旧規定は2003年1月1日以前までの養育費補助給付問題に関して継続して適用される。
3.第4条に規定されていることは、「遺族年金及び遺児の補助に関する法律の施行に関する法律」[Lagen (2000:462) om införande av lagen (2000:461) om efterlevandepension och efterlevandestöd till barn]第4条の規定に基づいて支払われる児童年金に対しても適用される。
2002:1079
この法律は2003年1月1日から施行する。但し、旧規定は2002年前の関連課税対象財産については継続して適用される。`
以 上(c菱木昭八朗訳 2003.05.01)
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スウェーデン語テキスト 論説:スウェーデン養育費補助法