第6章 選挙の実施機関と異議の申し立て機関

 

 第1節 選挙の実施機関

 選挙を実施するため、選挙事務の管理機関として中央選挙庁(Den central valmyndigheten)、県行政府(länstyrelsen=regional valmyndighet)コミューン選挙管理委員会(valnämnd)があります。尚、中央選挙庁は日本の中央選挙管理委員会、県行政府は県選挙管理委員会そしてコミューン選挙管理委員会は市町村選挙管理委員会に相当しますので、以下、この章では、中央選挙庁を中央選管、県選挙事務局を県選管、コミューン選挙管理委員会をコミューン選管と呼ぶことにします。

 中央選管は選挙事務に関する主務官庁として、選挙事務の外に地方選管の指導、監督および選挙に関する広報活動を行います。中央選管は国税局内に設けられています(förordningen (1985:953) om central valmyndighet参照)。また中央選管には選挙法、選挙人名簿法、教会代議員選挙法、国民投票法、住民投票法に関する規則制定権が与えられています(förordningen (1975:6) med bemyndiganden för centrala valmyndigheten att meddela vissa föreskrifter参照)

 県選管は県庁内におかれ、選挙業務、特に開票業務に際し、重要な役割をもっている行政機関です。県選挙事務局はまた、コミューン選管の指導、監督機関でもあります。コミューン選管は選挙事務に関する末端行政機関として、コミューン内の選挙事務を管理する行政機関です。

 

 第2節 選挙審査委員会

 中央選管、県選管またはコミューン選管によって行われた決定に対する異議の申し立て機関として選挙審査委員会(Valprövningsnämnden)が設置されています(公職選挙法第1章第19条)。審査委員会は国会によって選出された7名の委員から構成され、その任期は選挙の終わった年から次の選挙の年までの4年となっています。委員長となる者は専門的裁判官またはかって裁判官であった者で、且つ国会に所属していないことが条件となっています(公職選挙法第1章第19条第2項)。尚、委員長および委員にはそれぞれスペア委員がおかれることになっています。

 選挙審査委員会は国会、地方選挙、ヨーロッパ議会代表者選挙および教会代議員選挙の外に、国民投票、住民投票に関する異議申し立て事件を審査し、必要と認めた場合、再選挙を命ずることができます。選挙審査委員会の決定に対しては異議の申し立てを行うことができません(公職選挙法第1章第19条第1項)。


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