スウェーデン人工授精法

(Lag (1984:1140) om inseminaton)

 

 第1条 本法においてインセミネーション(人工授精)とは、人為的に女の体内に精子を注入することをいう。

 第2条 インセミネーショーンは女が婚姻している場合、または内縁の夫の同意を得た場合にのみ行われる。夫または内縁の夫からの同意は、書面によって行われることを要する。

 第3条 夫または内縁の夫以外の者からの精子をもってインセミネションが行われる場合、インセミネーションは産婦人科専門医の監督の許で国公立病院においてのみこれを行うことができる。 

医師は夫婦のまたは内縁夫婦の医学的、精神的、そしてまた社会的状況から見てインセミネーションを行うことが相当であるか否かを配慮しなければならない。インセミネションは生まれてくる子が  将来好ましい環境の許で育てられる場合においてのみ認めらる。インセミネーションを行うことを拒否された場合、夫婦または内縁夫婦は、社会庁に対して再審理を請求することができる。但し、社会庁の決定に対しては何人といえども異議の申し立てを行うことができない。

医師は適当な精子の提供者を選択することができる。精子提供者の資料は、70年間保存される特別のカルテに記載される。

 第4条 第3条の規定に定められているインセミネーションによって生まれてきた子は、相当の年齢に達したとき、病院に保存されている特別のカルテに記載されている精子提供者の資料を入手することができる。子がその資料を入手しようとする場合、社会庁は子からその請求がありたるときのために助力をしなければならない。

 第5条 父性決定事件においてインセミネーションに関する資料の収集を必要とする場合、裁判所から請求があったとき、インセミネーションの責任者またはインセミネーションに関する資料を収取することのできる者は裁判所にその資料を提出しなければならない。

 第6条 何人も社会庁の許可なしに冷凍精子をスウェーデン国内に搬入してはならない。

 第7条 営利を目的としてまたは常習的に、本法の規定に反してインセミネーション行った場合、またはインセミネーションを行うことを目的として精子を準備した者は罰金または6カ月以下の懲役に処する。

  本法の規定は1985年3月1日から施行する。

本法第4条の規定は精子提供者が本法施行以前に精子を提供している場合には適用されない。

以 上  参照:菱木昭八朗「スウェーデン人工授精法と改正親子法における人工授精子の父性」ジュリスト No.835 (1985/5/1)


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