用語例
埋葬 Begravning
埋葬法 Begravningslag
墓地 Begravningsplatser
焼骨 Aska
散骨場所 Minneslunden
納骨堂 Kolumbarier
公共墓地 Allmanna begravningsplatser
納骨壁 Urnmurar
教区長管区 Pastrat
個人墓地 Enskilda begravningsplatser
墓地権 Gravratt
火葬事務所 Krematoriemyndigheter
教会墓地管理事務所 Kyrkogardmyndigheter
墓施設 Gravanordning
埋葬(gravsattning)
管区協議会(stiftessamfalligheterna
墓地図 Gravkarta
墓地台帳 Gravbok
墓地登録台帳 Gravregister

スウェーデン埋葬法
[Begravningslagen (1990:1144) ]

目 次

第1章 用語の定義

第2章 墓地
公共墓地
管理者
墓地準備義務
墓地図、墓地台帳、墓地登録台帳
個人墓地
共通規定
抵当権その他の権利
墓地環境の保持義務
開棺
墓地の譲渡、目的外利用及び廃止

第3章 火葬場

第4章 死亡届、死亡診断書および死因証明書等

死亡届
死亡診断書および死因証明書
遺体がスウェーデン国内に搬入された場合の土葬または火葬許可
土葬または火葬許可
死亡診断書に関する特別規定

第5章 土葬および火葬

葬儀の執行
埋葬方法に関する争い
埋葬の場所等
火葬および土葬の条件
火葬または土葬の期限
焼骨の保管
焼骨の引き渡し
スウェーデン国内に搬入された焼骨の処置

第6章 埋葬されている遺体または焼骨の移動

第7章 墓地権

墓地権の行使等
墓地権者の善管注意義務
墓地権の貸与
墓地権の更新
墓地権の譲渡および返還
墓地権者の死亡と墓地権の変動等
同一墓地への埋葬とその順序
墓施設
墓の移転
墓地権の消滅
第8章 特別規定

墓地権を有しない者の埋葬
遺体または焼骨の搬入および搬出
非常時における土葬および火葬

第9章 刑罰、制裁金および異議の申し立て

刑罰
制裁金
異議の申し立て
経過規定
以 上

スウェーデン埋葬法
[Begravningslagen (1990:1144) ]

第1章 用語の定義
(Definitioner)

第1条 本法において使用されている用語の意味を次のごとく定める。

墓地(begravningsplatser)とは、死者の遺体(stoft)または焼骨(aska)を埋葬するため
に設けられた一定の区域で、特に教会その他の墓域、散骨場所(minneslunden)、 納骨堂(kolumbarier)、または納骨壁(urnmurar)のことをいう。

公共墓地(allmanna begravningsplatser)とは、スウェーデン国教会の教区長管区
(pastrat)またはコミューンもしくはその他の公共団体によって設置されている墓 地のことをいう。

個人墓地(enskilda begravningsplatser)とは、公共墓地以外の墓地のことをいう。

とは、遺体または焼骨の埋葬を目的として、公共墓地の一定の
区画を借り受けたとき、借り主に発生する墓地の利用権のことをいう。

火葬(kremering)とは、死者の遺体を火葬に付することをいう。

埋葬(gravsattning)とは、指定された場所に死者の遺体または焼骨を埋葬または
指定された散骨場所、その他墓地以外の場所に焼骨を安置しもしくは散骨する ことをいう。

墓施設(gravanordning)とは、遺体または焼骨を収納する施設、石碑、囲いまた
はその他の墓施設のことをいう。

教会墓地管理事務所(kyrkogardmyndigheter)とは、公共墓地の管理を行う事務所
のことをいう。

火葬事務所(krematoriemyndigheter)とは、火葬業務を行う事務所のことをいう。

第2章 墓地
(Begravningsplatser)

公共墓地
(Allmanna begravningsplatser)

管理者
(Huvudmanskapet)

第1条 相当数の墓地、その他墓地に必要な施設を有する公共墓地は、スウェーデン国教会の教区長区(de territoriella pastoraten)によって設置、管理される。
但し、特別の事由がある場合、政府は教区長区に代わって、コミューンに公共墓地の設置及び管理を命ずることができる。

第2条 キリスト教徒以外の者のための公共墓地は、スウェーデン国教会内の管区協議会(stiftessamfalligheterna)によって、また第1条第2項に規定されている場合にはコミューン(kommun)によって設置され、管理される。

墓地準備義務
(Skyldigheten att tillhandhalla gravplats)

第3条 教区長区、教会教区(kyukligasamfalligheten)またはコミューンは、その地域内に住民登録を行っている者のために公共墓地を準備しておかなければならない。
土地に余裕がある場合、その他の者のために墓地を設けることができる。(1991:496)

第4条 公共墓地に埋葬される権利は、死者の宗派によって区別されない。
但し、第2条に規定されている墓地についてはその限りでない。

墓地図、墓地台帳および墓地登録台帳
(Gravkarta, gravbok, gravregister)

第5条 政府または政府によって指定された行政官庁の命令によって、墓地の管理者は、公共墓地の墓地図、墓地台帳及び墓地登録台帳を備え付けておかなければならない。

個人墓地
(Enskild gravplats)
第6条 個人墓地はその許可を得ている宗教団体または財団法人によってのみ設置、運営することができる。
個人墓地の設置、運営に関する許可は、墓地の設置される県によって行われる。

第7条 個人墓地の設置は、特別の事情がある場合で、且つ個人墓地を設置しようとする宗教団体または財団法人が墓地所有者として責任を負うことができる場合においてのみ許可を行うことができる。

第8条 個人墓地の設置を許可する場合、許可の条件を設けることができる。

第9条 個人墓地の上に抵当権を設定しまたは差し押さえの対象とすることができない。
前項の規定は墓施設についても準用される。

共通規定
(Gemensamma bestammelser)

抵当権、その他の権利
(Pantratt,andra rattigheter)

第10条 墓地として使用されている区域に抵当権(pantratt)、地役権(servitut)、地上権(nyttjanderatt)その他の権利を設定することができない。
但し、特に支障のない場合、地下工作物法(Ledningsrattslagen (1973:1144)によって定められている地下工作物を設置するため墓地の一部を貸与することができる。

第11条 土地法(Jordbalken)によって登記の対象となっている抵当権、その他の権利によって墓地を差し押さえ、または利用権を制限することができない。

墓地環境の保持
(Begravningsplatsers skick)

第12条 墓地は常に秩序ある状態において、死者を葬る場所としてふさわしい環境を整備しておかなければならない。

開棺
(Gravoppning)

第13条 開棺は墓地管理者の責任においてのみこれを行うことができる。
開棺は遺体または焼骨を損傷しないようにこれを行わなければならない。

墓地の譲渡、目的外利用および廃止
(Overlatelse, anvandning for annat andamal, nedlaggning)

第14条 何人も、県の許可なしに墓地を譲渡し、目的外に利用すことができない。
墓地の全部またはその一部を廃止する場合、県の許可を得なければならない。墓地の廃止を許可する場合、県は墓地の廃止および跡地の利用について条件を設けることができる。

第3章 火葬場
(Krematoier)
第1条 火葬場は公共墓地を所有する者または教会教区によってのみ設置することができる。

第2条 火葬場はこれを差し押さえ、または担保にきょうすることができない。

第3条 火葬は火葬場においてのみこれを行うことができる。

第4条 制令の定めるところにより、火葬場には火葬日誌(kremationdsjournaler)を備えておかなければならない。

第4章 死亡届、死亡診断書、死因証明書等
(Anmalan om dodsfall, dodsbevis, intyg om dodsorsaken m.m.)

死亡届
(Anmalan om dodsfall)
第1条 スウェーデン国外において死亡した者の遺体または焼骨をスウェーデン国内に搬入する場合、その遺体はまたは焼骨を埋葬する者は、できるだけ早い機会に、その旨を死者が最後に住民登録を行っていた県の県税事務所に届け出なければならない。
死者の最後に住民登録を行っていた場所が知られざる場合、その届け出は、遺体または焼骨の埋葬が行われる県の県税事務所に対してこれを行う。(1991:496)

死亡診断書および死因証明書
(Dodsbevis och intyg om dodsorsaken)

第2条 スウェーデン国内において人が死亡した場合、遅滞なく、死亡診断書(dodsbevis)
および死因証明書(intyg om dodsorsaken)を発行しなければならない。
死亡診断書および死因証明書は医師によって発行される。
死因証明書および死因証明書を発行する医師は、死者の配偶諸、子、親、兄弟姉妹または死者と特別の縁故関係をもっていない者でなければならない。(1991:496)

第3条 第4条に規定されている場合を除いて、死亡診断書は遅滞なく、死者が最後に住民登録を行っている県の県税事務所に提出しなければならない。死者の最後に住民登録を行っていた場所が知られざる場合、または死者がスウェーデン国内に住民登録を行っていない場合、死亡診断書は死者が死亡した県の県税事務所に提出する。
人が死亡したとき、死者が病院に入院していた場合、または死亡に関連して病院に収容されていた場合、死亡診断書は病院から提出される。それ以外の場合には、死亡診断書は死亡診断書を作成した医師によって提出される。

第4条 死亡の際に、その状況が解剖等に関する法律(lagen (1995:832) om obdukationm.m.)によって法医学的検査の必要があると認められる場合、死亡を確定する医師または死亡診断書を発行する医師は、遅滞なく、死亡が発生した地区の警察署に対して、死亡事故が発生した場所が知られざる場合には死体が発見された地区を管轄する警察署に対して死亡を報告しなければならない。
第3条第1項に規定されていることに代わって、そのような場合の死亡診断書は、遅滞なく、警察署に提出される。報告を受けた警察署は、直ちに県税務事務所にその死亡を報告し、且つ必要な検視のあと、埋葬許可書とともに死亡診断書を県税務事務所に交付する。
検視を必要としないことが決定された場合、警察署は死亡診断書を提出した医師に対して、その旨を通知しなければならない。

第5条 死因証明書はそれを発行する医師から政府によって指定されている行政官庁に対して送付される。死亡の際に死者が病院において看護されていた場合、または死亡に関連して病院に搬入されている場合、死因証明書は病院から送付される。
第4条に規定されている場合、死因証明書は、法医学的検査のあと、政府によって指定されている行政官庁から中央統計局に送付しなければならない。

遺体がスウェーデン国内に搬入された場合の埋葬または火葬の許可
(Tillstand till gravsattning eller kremering nar stoft har forsts till in Sverige)

第6条 スウェーデン国外で死亡した者の遺体がスウェーデン国内に搬入された場合、その遺体を埋葬する者は、埋葬または火葬の許可を得なければならない。
埋葬または火葬の許可は、その遺体が埋葬または火葬に付される地区の警察署によって行われる。(1991:496)

土葬また火葬の許可証明
(Intyg for gravsattning eller kremering)

第7条 土葬または火葬の許可証は県税事務所によって発行される。土葬または火葬許可は、死亡の際の状況が死亡診断書によって解剖等の法律の規定によって法医学的検査の理由がない場合、または警察署が第4条または第6条に規定されている場合に土葬または火葬の許可を与えた場合に発行される。
第5章第3条の規定によって、埋葬方法に関して調停が行われている場合、県税事務所は土葬または火葬の許可証を発行することができない。

死亡診断書に関する特別規定
(Ytterligare foreskrifter om dodsbevis m.m.)

第8条 政府または政府の指定する行政官庁は
死亡診断書
死因証明書および
土葬または火葬許可証の発行に関し細則を定めることができる。(1991:496)

第5章 土葬および火葬
(Gravsattning och kremering)

土葬の執行
(Ordnandet med gravsattning m.m.)

第1条 人が死亡したとき、葬儀が死者の親族または特別縁故者もしくはその他の者によって営まれる場合、埋葬の方法について可能な限り死者の意思を尊重しなければならない。

第2条 死亡した者に葬儀を営む者がいない場合、死者が最後に住民登録を行っているコミューンが、死亡した者がスウェーデン国内に住民登録を行っていない場合には被葬者が死亡したコミューンが死体の埋葬を行う。
コミューンが死者の埋葬を行った場合、コミューンは相続法人に対して埋葬費用の返還を請求することができる。(1991:496)

埋葬方法に関する争い
(Tvister om kremering och om gravsattningen)

第3条 遺族間において死者の埋葬法方について争いが生じた場合、遺族からその請求に基づいて、死者が最後に住民登録を行っている地区の墓地管理事務所が調停を行う。
調停が調った場合、墓地管理事務所は合意内容を確認しなければならない。協議が調わなかった場合、墓地管理事務所は管理事務所の意見を沿えて、その争いを県に移送する。(1991:496)
第4条 県は埋葬方法を決定する者を選任しなければならない。
埋葬方法の決定者を選任する場合は、特に死者の意思を尊重しなければならない。その場合、特に埋葬方法を決定する者と死者との関係、同居の有無およびその他の関係を考慮しなければならない。

埋葬の場所
(Platsen for gravsattning m.m.)

第5条 遺体または焼骨は、公共墓地または個人墓地にのみ埋葬することができる。
但し、焼骨については、別に政令によって埋葬法方を定めることができる。埋葬法方に関する具体的な決定は県においてこれを行う。

第6条 火葬の際に焼却できなかった遺体の一部は骨壺の中に収納しなければならない。
骨壺の中に収納できない場合、火葬事務所はその部分を破砕し、骨壺の中に入れるかまたは公共墓地の一部に埋葬しなければならない。

第7条 埋葬は厳粛におこなわなければならない。

第8条 公衆衛生上、必要があると認められる場合、政府は政令をもって埋葬に関する規則を定めることができる。

火葬および埋葬の条件
(Villkor for kremering och gravsattning)

第9条 第4章第7条に規定されている埋葬許可証が火葬事務所または墓地管理者に提示されない限り、遺体を火葬または埋葬することができない。
但し、特別の場合、政府は埋葬許可証がなくても遺体を火葬に付する許可を与えることができる。(1991:498)

火葬および埋葬の期限
(Tiden for kremering och gravsattning)

第10条 遺体は可及的速やかに、遅くとも死後2ヶ月以内に火葬または土葬に付さなければならない。
但し、火葬または埋葬許可証を発行する県税務事務所においてその期間が延長されている場合にはその限りでない。
所定の期間内に火葬または土葬が行われなかった場合、県税務事務所は遅滞の理由を調査しなければならない。必要がある場合、その旨を第2条に規定されているコミューンに報告しなければならない。(1991:496)

第11条 スウェーデン国内において火葬に付された焼骨は、火葬の日から1年以内に埋葬しなければならない。
但し、焼骨を保管している行政官庁において相当と認められる事由がある場合、その期間を延長することができる。

第12条 焼骨が第11条の規定に定められている期間内に埋葬されなかった場合、焼骨を保管している行政官庁は焼骨の埋葬を命ずることができる。
行政官庁は焼骨の埋葬を行う前に、埋葬を行うべき者に対して焼骨の埋葬を命ずることができる。

焼骨の保管
(Forvaltning av aska)

第13条 焼骨は埋葬されることを前提にして、火葬事務所において保管することができる。
焼骨は焼骨が埋葬される地区の墓地管理管理事務所において、埋葬場所が未定の場合には、死者が最後に住民登録を行っている地区の墓地管理事務所において保管しておくことができる。

焼骨の引き渡し
(Utlamnande av aska)

第14条 火葬後、焼骨は焼骨の引き渡しを受ける者が次に掲げる行為を行う場合に限って引き渡すことができる。
焼骨を火葬場と異なる場所に移送する場合
分骨する場合
スウェーデン国外に焼骨を搬出する場合

第15条 焼骨は丁重に取り扱われる場合において引き渡すことができる。

第16条 焼骨を保管している事務所において焼骨の埋葬場所に関して争いがある場合、その争いが解決されるまで、焼骨を引き渡しまたはその他の方法で送付してはならない。

スウェーデン国内に搬入された焼骨
(Aska som har forts in til Sverige)
第17条 スウェーデン国内に搬入された焼骨は、埋葬されることを条件として、第13条の規定によって保管される。保管されている焼骨の引き渡しについては第14条乃至第16条の規定が準用される。

第18条 焼骨は、焼骨がスウェーデン国内に搬入された日から1年以内に埋葬しなければならない。
焼骨を保管している事務所は相当の事情がある場合、その期間を延長することができる。
焼骨が所定の期間内に埋葬されなかった場合、第12条の規定が準用される。

第6章 埋葬されている遺体または焼骨の移動
(Flyttning av gravsatt stoft eller aska)

第1条 原則として、墓地に埋葬されている遺体または焼骨を移動してはならない。
但し、特別の事情があり、且つ遺体または焼骨を埋葬する場所が明確になっている場合、
遺体または焼骨の移動を許可することができる。

第2条 第1条第2項に定められている決定は、遺体または焼骨の移動が公共墓地内において行われる場合、教会墓地管理事務所においてこれを行うことができる。
その他の場合においては、許可は墓地の所有者を監督する県においてこれを行うことができる。

第3条 第1条の規定に関係なく、墓地権が消滅している場合、教会墓地管理事務所は納骨堂または納骨壁に安置されている焼骨を撤去することができる。
納骨堂または納骨壁から撤去された焼骨は、墓地または墓地の敷地内に埋葬しなければならない。

第7章 墓地権
(Gravratt)

墓地権の行使等
(Utovande av gravratt m.m.)

第1条 墓地権は、墓地台帳または墓地登録台帳に墓地権者として登録されている者においてのみこれを行使することができる。
但し、墓地権者が死亡している場合、死者のも埋葬を行う者が墓地権者に代わって墓地権を行使しすることができる。

第2条 墓地権はこれを担保に供し、差し押さえ物件の対象とすることができない。

墓地権者の善管注意義務
(Gravrattsinnehavarens ansvar for gravplatsen)
第3条 墓地権者は善良な管理者としての注意をもって墓地を維持管理しなければならない。

墓地権の貸与
(Upplatelse av gravratt)

第4条 墓地権は特別の事由がない限り、法人に貸与することができない。

第5条 墓地権の貸与期間は最低15年、最高50年または無期限とする。
無期限の場合、墓地権は公共墓地が存続する限り継続する。

第6条 貸与に期間が定められていない場合、貸与期間は最高25年までとする。

第7条 墓地の貸与者は墓地権証書(gravbrev till bevis om att gravratten puulatits)を交付しなければならない。

第8条 墓地権に対して使用料が支払われる場合、その使用料は墓地の退職契約が成立したとき、支払われる。

墓地権の更新
(Fornyelse av upplatelse)

第9条 墓地の貸与期間が終了したとき、次の場合、墓地権は自動的に更新されたものとみなされる。
墓地の管理が十分に行われている場合、
貸与が墓地の維持管理に何らの支障をきたさない場合
墓地権者から事前に墓地権の更新を欲しない旨の届け出がなされていない場合

第10条 墓地権の更新の条件を変更する場合、墓地の貸与者は墓地の貸与期間が終了する相当な期間前に墓地権者に墓地権更新の条件を通知しておかなければならない。

墓地権の譲渡および墓地権の返還
(Overlatelse och aterlamnande av gravratt)

第11条 墓地権は譲渡人または墓地に埋葬されている者と血縁関係にある者もしくは特別の関係にある者にたいしてのみ譲渡することができる。
墓地権譲渡の問題は貸与者において審理される。

第12条 墓地権は貸与者に返還することができる。

第13条 墓地権は対価をもって譲渡または返還することができない。

墓地権者死亡の場合の墓地権の変動等
(Overgang av gravratt vid innehavarens dod m.m.)

第14条 墓地権者が死亡したとき、墓地権は、

墓地権者と血縁関係にある者または死亡した墓地権者もしくはその墓地に埋
葬されている者と何らかの事由によって特別の関係のある者、もしくは

相続基金財団に帰属する。
但し、墓地権の承継を欲しない場合にはその限りでない。

第15条 貸与の際に、または貸与後に墓地権の承継人が遺言によって指定されている場合、墓地権は第14条に規定されている者に移転する。
それ以外の場合には、墓地権の承継人は死者の配偶者または相続人によって決定される。

第16条 死亡した墓地権者の相続法人は、墓地権者が死亡したときから6ヶ月以内に貸与者に次に掲げる事項を届け出なければならない。

第15条の規定によって墓地権を承継する者

墓地権の承継人がいない場合、墓地権の承継人の不存在

第17条 相続法人が所定の期間内に第16条に規定されている届け出を行わなかった場合、貸与者は相続法人に対して、一定の期間内に墓地権の承継人を届け出ることを命ずることができる。

第18条 相続法人が第17条に規定されている義務を怠った場合、または第15条の規定によって墓地権を移転すべき者がいなかった場合、貸与者は第14条に定められている者に対して墓地権を移転することができる。

第19条 第14条に規定によって墓地権を承継すべき者がいなかった場合、その墓地権は貸与者に返還されたものとみなされる。

第20条 第19条の規定によって墓地権が返還されたものとみなされる場合、貸与者は、最後にその墓地に埋葬されている者のために、その者のためにその者が埋葬されたときから最低15年間、その墓を保存しておかなければならない。
但し、墓の管理料が支払われている場合、支払いが継続している限り、墓を保存しておかなければならない。
同一墓地への埋葬と埋葬の順序
(Gravsattning inom gravplatsen)

第21条 墓地権者は本法に別段の定めがない限り、自分の墓に埋葬される者を決定することができる。

第22条 複数の墓地権者がいる場合で、且つその墓に埋葬されるべき者について協議が調わない場合、被葬者の決定は貸与者がこれを行う。

第23条 第22条の規定によって貸与者が被葬者の決定を行う場合、その順位は相続法の規定にしたがう。優先順位の決定に際し、貸与者は、

子は孫に、

親は兄弟姉妹に、

兄弟姉妹は甥姪に優先し、更に

夫婦は一緒の場所に葬られるように配慮しなければならない。 但し、前項の
規定によって、同等の権利をもっている者がいる場合、または特別の事情がある場合、

墓に埋葬されている者またはその土地と個人的関係の有無、その他特別の事情
を考慮しなければならない。

第24条 次に掲げる場合、貸与者は同一墓地への埋葬を拒否することができる。

埋葬によって既に埋葬されている遺体または焼骨が損傷されるおそれのあ
る場合

明らかにその埋葬が先に墓地権を有していた者の意思に反するとみなされ
る場合

埋葬が宗教的要件と異なる場合

墓施設
(Gravanordningar m.m.)

第25条 墓地環境を破壊しない限り、墓に墓施設を設けることができる。

第26条 墓地権者は、墓地施設のデザインを決定することができる。墓の装飾その他の施設についてもまた同様である。但し、貸与者は善き墓地文化(en god gravkultur)を保護するために必要がある場合、墓地権者の決定権を制限することができる。

第27条 墓地施設が設置される前に、貸与者は設置される墓地施設が適当なものであるかを審査することができる。

第28条 墓施設が設置された場合、その施設は貸与者の同意なしに撤去することができない。
特に支障のない限り、墓施設の撤去を認めることができる。

第29条 墓施設を担保に供し、また差し押さえることができない。

墓の移転
(Andring pa gravplatsen)

第30条 墓の移転は、墓地権者が同意をした場合においてのみ、これを行うことができる。
但し、環境保護または公衆衛生上もしくは労働者保護の必要上、墓の移転を必要とする場合、墓地権者の反対があっても、墓の移転を行うことができる。

第31条 損害を防止するためにその必要がある場合、貸与者は、墓に対して執拗な措置を講ずることができる。
但し、貸与者が必要な措置を講じた場合、遅滞なくその旨を墓地権者に通知しなければならない。

墓地権の消滅
(Gravrattens upphorande)

第32条 墓地権は次に掲げる場合に消滅する。

墓の貸与期間が終了した場合

墓が貸与者に返還された場合

第33条の規定によって、墓地権者が墓地権を喪失した場合、

第34条の規定によって、墓地権喪失の宣告を受けた場合、

第33条 墓の管理が不適切で、且つ墓地権者が墓の貸与者から墓の管理について指図を受けてから1年以内に適切な措置を講じなかった場合、墓の貸与者は墓地権喪失の宣告を行うことができる。貸与者が墓の管理について指示を行う場合、その中に墓地権を失うことのあるべきことを記載しておかなければならない。
墓の管理者が行政官庁の場合、墓地権は消滅しない。

第34条 公共墓地の全部またはその一部が廃止された場合または墓地の維持管理のため、墓の存在が障害となる場合、県庁は関係する墓を他の場所に移転することができる。墓の移転が不可能な場合または墓地権者が墓地権の保持を欲しない場合、県庁は墓地権を消滅させることができる。

第35条 墓地権が消滅した場合、墓施設については第28条の規定が準用される。

第36条 墓地権者が墓地権の消滅後、6ヶ月以内に墓施設を撤去しなかった場合、その施設は、墓の貸与者に帰属する。
墓施設の撤去について争いがある場合、その期間は争いが解決されたときから起算される。

第37条 墓施設が貸与者に帰属した場合で、且つそれが文化財的価値のある場合、またはその他の事由によって保存すべき価値を持っている場合、可能な限り、貸与者はその施設を墓の上に残しておかなければならない。
墓施設を墓から撤去しなければならない事情がある場合、その施設は、当該墓地内に、またはその他適切な場所に保存しておかなければならない。
文化財の保護に関しては文化財保護法(Lagen (1988:950) om kulturminnen .m.m.)の規定にしたがう。

第8章 特別規定
(Sarskilda bestammelser)

墓地権をもっていない者の埋葬
(Gravsattning utan upplatelse av gravratt)

第1条 ある者が公共墓地内に埋葬されている場合、その墓地が墓地権に基づいて他人に貸与されていない場合、その墓は死者のために15年間保存される。
墓地施設については、第7章第25条乃至第29条、第35条乃至第37条の規定が準用される。ここに墓地権者とは埋葬を行う者のことをいう。
墓地施設を有する墓を用意する代償として墓地の所有者は、墓の使用料および管理料を徴収することができる。

遺体または焼骨の搬入および搬出
(Utforsel och inforsel av stoft eller aska)

第2条 スウェーデン国内からスウェーデン国外に、またはその反対にスウェーデン国外からスウェーデン国内に遺体または焼骨を搬出入する場合の規則は、別に政令をもってこれを定める。

戦時下の埋葬と火葬
(Gravsattning och kremering under krig)

第3条 スウェーデンが戦時下にある場合、戦争または伝染病によって死亡した者の遺体は、本法その他の規定に関係なく、埋葬または火葬に付することができる。

第9章 刑罰、制裁金および異議の申し立て
(Ansvar, vite, overklagande)
刑罰
(Ansvar)

第1条 故意に第3章第3条または第5章第5条の規定に違反した場合、その行為が刑法上の責任を問われない場合であっても、罰金または最高6ヶ月の懲役に処する。

制裁金
(Vite)

第2条 公共墓地または個人墓地を所有する者または火葬場を所有する者が法律その他の規定によって定められている義務を怠った場合、県庁は制裁金を賦課してその義務を履行せしめることができる。

第3条 第5章第17条の規定によって焼骨の引き渡し義務を怠っている者に対して、県は制裁金を賦課してその義務を履行せしめることができる。

第4条 貸与者の決定に反して、墓地施設を設備した場合、県は制裁金を賦課して、その施設の撤去を命ずることができる。
その他、相当と認められる事由がある場合、墓施設の撤去を命ずることができる。

第5条 墓地権者が第4条に規定されている命令にしたがわなかった場合、執行官事務所は施設の撤去について特別の措置を講ずることができる。
特別の措置については、強制支払い命令法(lagen (1990:746) om betalningsforelaggande och handrackning)の規定にしたがう。

異議の申し立て
(Overklagande)

第6条 本法その他の規定による教会墓地管理事務所または火葬事務所の決定については、県に対して異議の申し立てを行うことができる。

第4章第6条に規定されている埋葬または火葬に関する警察の許可、および

第4章第7条に規定されている埋葬または火葬に関する県税務事務所の決定ま
たは第5章第10条に規定されている猶予期間に関する決定もしくは第7章第3 4条に規定されている墓地権の移転または消滅に関する決定についてもまた同 じ。

第8条 県の行った制裁金の賦課決定に対しては異議の申し立てを行うことができない。

第9条 第7条、第8条に規定されている場合を除いて、本法に定められている県の決定に対しては、政府に対して異議の申し立てを行うことができる。

経過規定
1.本法の規定中、第2章第3条の規定は1993年1月1日から、その他の規定にあ っては1991年4月1日から施行する。
2.埋葬に関する法律、墓地権に関する法律、埋葬規則は廃止する。
3.旧規定によって政府から与えられている個人墓地の設置に関する許可は継続して有 効とする。個人墓地への埋葬についてもまた同じ。
墓地内で生ずるそれ以外の埋葬問題および条件については、この法律が施行された 後、県において審理される。
県の決定に対する異議の申し立ては、第9章第9条の規定にしたがう。
4.旧規定によって政府から個人または組合もしくは財団法人に対して与えられている 火葬場の設置に関する許可は継続してその効力を有する。
個人または組合もしくは財団法人によって設置されている火葬場には代表者をおか なければならない。新法の適用に際し、火葬事務所をもって代表責任者とみなす。
5.新法施行前に行われた墓地権貸与の際にまたはその後で行われた墓地権者死亡の場 合の墓地権の相続に関する遺言は、第7章第15条の規定に関係なく有効とする。
6.旧法によって取得した協会内に墓を所有する権利は、新法によって何らの変更を受 けないものとする。
7.墓地権に関するする法律の施行前に定められている墓の管理料に関してもまた同じ。
8.本法施行前になされた決定に関する異議の申し立ては旧法に規定にしたがう。
この法律は政府が決定した日からその効力を生ずる。本法施行前に訴えが提起されている場合、強制執行事件に関しては旧法の規定が適用される。
以上 (菱木昭八朗訳)