スウェーデン年次休暇法

            Semesterlag 1977:480

 総  則 (Inledande bestämmelser)

 第1条 被用者(arbetstagare)は、本法の規定により、年次休暇に関する権利をもつ。本法において、年次休暇に関する権利とは、年次休暇休(semesterledighet)、年次休暇給(semesterlön)、年次休暇補償手当(semesterersättning)のことをいう。

 AD 1976:64, AD 1979:57, AD1981:172, R 1982 2:82, AD 1982:123 AD 1983:62.

 第2条 本法の規定によって被用者に与えられている権利を制限、または剥奪する契約は、本法の規定に反するかぎり無効とする。但し、本法の規定によって、別段の定めがある場合にはそのかぎりでない。

 第3条、第9条、第11条、第16条、第22条、第23条、第26条、第29条、第30条の規定に関しては、被用者側の主張に基づいて締結された労働協約 (kollektivavtal som på arbetstagarsidan har slutits))、または共同決定法(lagen (1976:580 om medbestämmande i arbetslivet)によって中央労働組織(central arbetstagaroganisation)としてみなされる労働組合によって承認されている労働協約によって、それと異なることを定めることができる。上記労働協約、第5条第2項に規定されている事項に関する労働協約、もしくは第12条、第19条、第20条、または第21条の規定の内容を変更する労働協約によって拘束される使用者は、被用者に対して別段の労働協約が適用される場合を除いて、被用者がその労働協約を締結した労働組合に所属していない場合であっても、当該労働協約の対象とされている労務に従事しているかぎり、その労働協約を当該被用者に適用することができる。

 第3条 本法において年次休暇年(semesterår)とは、毎年の4月1日から、その翌年の3月31日までの一年間の期間をいう。年次休暇年の直近前年度のことを年次休暇権受給資格取得要件年(intjänandeår)と称する。

 本法において年次休暇休(semesterledighet)とは、個々の年次休暇日の休み、および年次休暇期間の休み、年次休暇日の直前、直後の第9条に規定されている休日のことをいう。

 年次休暇休および年次休暇給に対する権利(Rätt till semesterledinghet och semesterlön)

第4条 被用者は、第5条および第27条に規定されている場合を除いて、毎年次休暇年毎に、年間、25日の年次休暇休を受給する権利を有する。

 年次休暇休中、被用者は、年次休暇権受給資格取得要件年内(under intjänandeåret)に取得した範囲において年次休暇給を取得する権利を取得する。

 年次休暇給の伴わない年次休暇休を受給する権利はこれを放棄することができる。

 (1992:1329)

 第5条 8月31日以降に採用された被用者については、採用された年の年次休暇年度内に5日間の年次休暇休を取得することができる。

 最高3ケ月、60時間を超えない労務のために雇われ、且つ就労の期間がそれ以上の期間に及ばなかった場合、被用者は年次休暇休を受給することができない。被用者が、特定の期間、もしくは特定の季節、または特定の労務に服するために雇われた場合、使用者は、契約によって被用者の年次休暇休に対する権利を喪失せしむることができる。但し、雇用契約の期間もしくは雇用の期間が3ケ月を超える場合には、本項の規定は適用されない。本項の規定によって被用者が年次休暇休受給権をもたない場合であっても、被用者は就労期間中の年次休暇補償手当(semesterersättning)を請求することができる。

 前項の規定によって被用者が年次休暇補償手当の受給権を取得した場合、雇用の期間が最高3ケ月、60時間以内の場合、別段の事情がないかぎり、年次休暇補償手当は、労働に対する対価に含まれているものとみなされる。

 特別年次休暇休については、放射線業務に従事する者のための延長年次休暇法 (Lagen 1963:115 om förlängd semester för vissa arbetstagare med radiologiskt arbete.)の規定に従う。

 第6条 使用者の変更によって、元の使用者の許で受給することができなかった年次休暇休(semesterledighet)は、新しい使用者の許で受給することができる。

 第7条 有給年次休暇日数(semesterdagar med semesterlön)は、第4条の規定によって定められている要件年中に、被用者が使用者の許で労務に服した日数に応じて決定される。雇用期間中に、賃金の支払われない欠勤をした労働日は、年次休暇休による休日、パーミッテングによる休業、第17条の規定により出勤とみなされる欠勤の場合、その日は労務に服したものとして取り扱われる。

 前項の規定によって年次休暇手当の伴う年次休暇日の計算が行われる場合、要件年における有給年次休暇の部分は日数をもって示される。年次休暇手当を伴う年次休暇日の計算に際して、端数が生じた場合、その端数は一日として計算される。

 年次休暇を支給する場合、別段の定めがない場合、有給年次休暇休を先に支給しなければならない。AD 1983:137.

 第8条 被用者は年次休暇休の支給が行われる前に、無給の年次休暇休を受給するか否かを、そして無給の年次休暇休の受給を欲する場合には、その日数を使用者に対して通知しておかなければならない。但し、被用者は自分が受給することのできる無給の年次休暇休の日数を知るまではその返答を延期することができる。

 前項の規定によって、被用者が無給の年次休暇休を受給する旨の意思表示を行った場合、爾後、被用者は、本法第13条に規定されている場合を除いて、その受給を取り止めることができない。 

  年次休暇の日数計算(Räkning av semesterledighet)

 第9条 年次休暇は日をもって計算される。土曜日、日曜日は、本条第3項の規定に定められている場合を除いて、年次休暇日として計算されない。

 年次休暇の受給者が土曜日または日曜日、もしくはその双方を出勤日とする場合で、且つ、その者が受給しようとする年次休暇の日数が最低5日の場合、年次休暇の始まる直前または直後の土曜日、日曜日、もしくは年次休暇中の日曜日、土曜日は休日とする。受給しようとする年次休暇の日数が最低19日の場合、特別の事情がないかぎり、年次休暇の直前、もしくは直後の土曜日、日曜日は休日とする。本項の適用に際して、土曜日、または日曜日以外の週日が週休日となっている場合、その週休日をもって年次休暇日とすることができる。

 土曜日、日曜日が出勤日となっている者が、土曜日、日曜日に年次休暇を受給しようとする場合、その者の受給する年次休暇の日数が本条第2項に規定されている場合よりも短いときは、土曜日、日曜日は、年次休暇日として計算される。但し、労働解放日(arbetsfri dag)は、年次休暇日とみなされない。

 祭日、ポースクアフトン(poskafton)、ミッドソンマルアフトン(middsommarafton)、ユールアフトン(julafton)、ニーオッシュアフトン(nyårsafton)は日曜日と同様に取り扱われる。AD 1980:174.

  年次休暇の割り当て(Förläggning av semesterledighet)

  第10条 労使間において、賃金、基本的な労働条件に関して労働協約が締結されている場合、労働者側からその請求が行われたとき、使用者は、年次休暇の割り当てに関する労働協約を締結しなければならない。労使間に年次休暇の割り当てに関する労働協約が締結されていない場合、本条第2項、第3項の規定が適用される。

 本条第12条に規定されている年次休暇の割り当てに関しては、被用者の労働および雇用関係の重大な変更に関する使用者の事前協議義務を定めた共同決定法(1976:580)の規定が適用される。被用者が協議のための交渉団体をもっていない場合、もしくは交渉団体があっても、その問題に関して交渉することを欲しない場合、年次休暇の割り当ての問題に関して、使用者は、被用者と個別に協議、決定しなければならない。

 年次休暇の割り当てに関して、労使間に協議が調わない場合、別に契約がないかぎり、使用者がこれを決定する。

  第11条 年次休暇の割り当て事項が、労使間の協議以外の方法で決定された場合、使用者は、その決定内容を被用者に通知しなければならない。決定通知は、おそくとも年次休暇の始まる3ケ月前にこれを行わなければならない。但し、特別の事由ある場合、年次休暇の始まる1ケ月前までその通知を延期することができる。

  第12条 労働協約によって、別段の定めがない場合、使用者は、毎年の6月から8月迄の間に、最低4週間、被用者において年次休暇の受給ができるよう年次休暇の割り当てを行わなければならない。但し、特別の事由がある場合、特約の有無にかかわらず、別の時季に年次休暇の割り当てを行うことができる。

  第13条 被用者が第8条の規定に基づいて、無給の年次休暇を受給する旨を通知した後に、使用者がレイ・オフ決定を行った場合、被用者の受給する年次休暇と、レイ・オフ期間と重複するとき、重複する部分について年次休暇の受給を取り消すことができる。但し、無給の年次休暇を受給する者において、事前にレイ。オフ決定のあることを知っていた場合にはそのかぎりでない。被用者が年次休暇の受給取消を行おうとする場合、既に割り当てられている年次休暇の始まる2週間前までにその旨を使用者に通知しなければならない。被用者が年次休暇の始まる2週間前以降にレイ。オフ決定を知った場合、直ちに、使用者に受給取消通知をおこなった場合、受給権を撤回することができる。既に、年次休暇が始まっている場合には、受給者から使用者に対して年次休暇受給撤回通知がなされたとき、年次休暇の支給は停止する。

  第14条 被用者の同意なしに、解雇予告期間に年次休暇を割り当ててはならない。

  解雇が使用者からなされた場合で、且つ解雇予告期間が既に割り当てられている年次休暇の期間の全部もしくはその一部と重複している、その解雇が、被用者の責めに帰すべき事由によらざる場合、被用者から請求があったとき、解雇予告期間と重複する限度において、年次休暇の割り当ては無効とする。

 第1項、第2項の規定は、解雇予告期間が6ケ月を超える場合には適用されない。

  第15条 年次休暇実施中に年次休暇受給者が傷病のため就労能力を失った場合、もしくは、本法第17条第1項第2号乃至第6号に規定されている事由が生じたとき、年次休暇の受給者から遅滞なくその旨の届け出があった場合、その期間は年次休暇の期間から除外される。

  前項の規定が適用されたことによって生じた被用者の残存年次休暇は、特に被用者から反対の意思表示が行われないかぎり、中断の事由が消滅した後、継続して支給されるものとする。

 年次休暇手当の計算(Beräkning av semesterlön)

 第16条 年次休暇手当(semesterlön)は、被用者が当該有給年次休暇の受給資格を取得した要件年内(intjänandeåret)に、使用者から支払われた賃金の12パーセント相当額とする。

 被用者が要件年度内に使用者から取得した賃金を計算する場合、本法第22条、または年次休暇と同時に実施された操業停止にともなって支払われた一時解雇手当てを除く年次休暇手当ては賃金とはみなされない。また被用者が本法第17条の規定によって出勤とみなされる欠勤を行った場合、その欠勤に対して支払われた欠勤手当は、賃金の中に算入されない。但し、その期間については、被用者が要件年内に使用者から取得した賃金をその者が要件年内に使用者の下で働いた日数で割った平均賃金をもって当該年次休暇受給者の欠勤日一日当たりの賃金額とし、その総額を年次休暇手当ての計算の基礎となる賃金に加算する。要件年内に被用者が使用者から賃金を取得しなかった場合、当該年次休暇の受給者が要件年内に使用者の下で労務に服していたならば、取得することができたであろうと思われる賃金額を考慮して、その者の年次休暇手当ての額を決定する。(1992:1329)

 第17条 次に掲げる欠勤は、年次休暇手当の計算に際して、出勤したものとみなされる。

  1. 傷病による欠勤(ledighet på grund av sjukdom)で、その欠勤日数が要件年内に180日を超えない場合、または、その欠勤の事由が業務上の災害(arbetsskada)による場合、
  2. 「子の看護のための休暇に関する法律」(Lagen (1978:410) om rätt till ledighet för vård av barn, m..m) による欠勤で、且つ「普通保険法」第3章第9条の規定によって妊娠休業補償手当が支給される期間、または同法第4章第3条、第5条の規定により出産、養子縁組のために休業補償手当が支給される期間のなかで、その欠勤日数が子供一人につき、また同時複数出産の場合120日、但し親となる者が一人の場合には180日を超えない場合、更に、同法第4章第10条、第10a条、第11条、第11a条の規定により臨時休業補償手当の支給対象となる場合、(1994:606)
  3. 伝染病拡散予防のための欠勤で、且つ被用者が伝染病原菌保菌者に対する休業補償法(Lagen (1989:225) om ersättning till smittbärare)の規定により休業補償手当を受給する資格を有する場合で、その期間が要件年内に180日を超えない場合
  4. 年次休暇手当ての支給対象とならない教育研修参加のための欠勤で、本法以外の法律の規定によって被用者が教育研修助成法(studiestödlagen (1973:349)により時間手当て、または所得補助金、成人教育助成金を取得した場合、または教育研修の内容がもっぱら労働組合業務、または労働組合業務に関連する場合、その欠勤日数が、要件年内に180日を超えない場合、
  5. 兵役法第(värnpliktslagen 1941:967)27条の規定による欠勤、または同条に定められている60日を超えない業務につくための欠勤で、それが教育召集、または基礎教育と結合していない場合、または義務兵役にかかわる業務に携わるたるの欠勤で、その期間が要件年内に60日を超えない場合、
  6. 被章者が22歳に達した後、非常時民間防衛召集、または国防省よって行われる非常召集以外の民間防衛業務に携わるための欠勤で、その期間が60日を超えない場合、
  7. 外国移民を対象とするスウェーデン語教育のための休業に関する法律(Lagen (1986:163) om rätt till ledighet för svenskundervisning för invandrare)による欠勤
  8. 「近親者看護のための休業と休業手当に関する法律」(Lagen (1988:1465) om ersättning och ledighet för närståendevård)による欠勤の場合で、その期間が45日を超えない場合(1993:334 199341日施行)

 本条第1項の規定の適用に際して、原則として、欠勤期間の最初の90日は業務による欠勤として取り扱われない。被用者が第1項第1号に定める事由により、二要件年継続して職務を休んだ場合、それ以後の欠勤は年次休暇手当の計算に際してその対象とすることができない。

 被用者が労働を行うことができなかった期間もまた、第1項に定められている欠勤期間の中に算入される。(19911114 som avser p.7 och träder i kraft i juli 1992

 被用者が職務に就くことのできなかった期間の労働日もまた欠勤期間の中に算入される。1985年法律第86号、及び1985年法律第91号により改正。

  年次休暇と年次休暇手当ての保蓄(Sparande av semesterledighet och mesterlön)

  第18条 被用者が年次休暇実施年に20日以上を超える有給の年次休暇を受給する権利をもっている場合、20日を超える部分について、その一日または複数日を翌年度以降に繰越受給することができる。

 翌年度以降に受給繰越しされた年次休暇は、本法第20条第2項の規定に定められている場合を除いて、その年次休暇の繰り越された年の翌年度から5年以内に受給しなければならない。

 被用者が保蓄している年次休暇を受給する場合、その年に受給することのできる通常の年次休暇をあわせて受給しなければならない。

 第19条 被用者が有給年次休暇の保蓄を行おうとする場合、または既に保蓄している年次休暇を通常の年次休暇と共に受給しようとする場合、受給者は、年次休暇の支給時期が決定されるとき、使用者にその旨を通知しなければならない。但し、被用者が、自分の取得のすることのできる有給の年次休暇の日数を知るまでその通知を延期することができる。被用者が保蓄している年次休暇を通常の年次休暇と異なる時に受給しようとする場合には、被用者は、おそくとも受給期日の2ケ月前にその旨を使用者に通知しなければならない。

 但し、労使間の契約によって別段の定めある場合、前項の規定は適用されない。

 第20条 被用者から保蓄年次休暇の受給請求があったとき、使用者は保蓄年次休暇を支給しなければならない。但し、労使間に別段の契約がある場合、または被用者が請求をしたときに保蓄年次休暇を支給できない特別の事由がある場合にはそのかぎりでない。被用者が年次休暇の保蓄が行われた年次休暇実施年度から5年後に保蓄休暇の受給を予定していたが、その年になって当該保蓄年次休暇を支給することができなくなった場合、使用者は、本人の同意を得てその支給時期を一年間延期することができる。

 第21条 被用者が5保蓄年次休暇と同時に受給することを欲した場合、契約に特別の定めがないかぎり、保蓄年次休暇と通常の年次休暇を一括、連続して支給しなければならない。

 第22条 保蓄年次休暇に対して支払われる保蓄年次休暇一日当たりの年次休暇手当ての額は、本法第23条の規定が適用される場合を除いて次の場合、0.48パーセント相当額とする。

  1. 被用者が保蓄年次休暇を受給する前の年に使用者から支払われた賃金の0.48パーセントとする。但し、被用者が欠勤している間に支払われた賃金はその中から控除される。
  2. 被用者が保蓄年次休暇を受給する前の年に受給した年次休暇また保蓄年次休暇以外の理由によって欠勤した日数に相当する賃金の額は、または年次休暇と同時に実施された一時解雇の場合には、その期間中に支払われた一時解雇手当ての0.48パーセントとする。

 本条第1項第2号に規定する年次休暇手当ての計算は、本法第16条第2項第3節、第4節の規定に基づいて行われる。

 第23条 本法第22条に規定する年次休暇手当ては、受給者が保蓄年次休暇手当てを受給する前の年に保蓄年次休暇手当ての受給資格を取得した要件年度と同様、一年間完全に雇われていたものとして計算される。

 年次休暇手当てに関する特別規定(Säskilda bestämmelser om semesterlön)

  第24条 年次休暇手当ての計算に際しては、の住宅の現物給付のまたは特別の費用の代償となっている諸手当ては所得の対象から除外される。

  第25条 被用者が、使用者の家計のなかで無料の食事給付を得ている場合、その者が年次休暇中に食事給付を受けなかったとき、受けなかった部分について、相当の補償を請求することができる。

 第26条 使用者は、被用者に対して年次休暇と共に年次休暇手当てを支給しなければならない。週、またはそれより長い期間を単位として賃金計算が行われている時間給の被用者の場合、使用者は、年次休暇と共に年次休暇期間中に給与の支払日がくる給与にさすては、年次休暇と共に、そしてまたもし、そのときに年次休暇手当てが残っている場合には、年次休暇実施年の終わりにその年次休暇手当てを支払わなければならない。

 第27条 被用者が、自宅または使用者が監督することのできないような状態において労務に服している場合、被用者は、その者が要件年度内に使用者から取得した年銀の12パーセント相当額を特別年次休暇手当てとして受給することができる。

 要件年度内の賃金計算に際しては、本法第16条第2項の規定が準用される。但し、出勤とみなされる欠勤日に関しては、そこに定められていることは期間について特に別段の合意がないかぎり、周を単位として適用される。雇用期間が最高3ケ月、60時間未満の場合、本法第24条、第25条及び第5条第3項の規定が適用される。

 特別年次休暇手当ては要件年の終了した時から、6月20日までに支給しなければならない。要件年が4月30日以降に終わる者については、要件年が終わってから2ケ月以内にこれを支給しなければならない。(1992:1329)

 年次休暇補償手当(semesterersättning)

  第28条 被用者が、既に受給権の発生している年次休暇給を受給する前に退職した場合、退職者は、本法第31条の規定が適用される場合を除いて、年次休暇給にかえて、年次休暇補償手当を請求することができる。

 雇用条件の変更によって、有給年次休暇がその要件年に繰上げ支給される場合でもまた同様である。但し、その場合、年次休暇補償手当に関する規定は、新しい雇用条件が適用される時点をもって、元の雇用関係が終了したものとして適用される。

 それ以外の場合、年次休暇補償手当については第5条の規定が適用される。

 第29条 年次休暇補償手当は、年次休暇給の計算を基準して決定される。被用者が使用者の許で無料の食事給付を受けている場合、被用者は受給することのできる年次休暇補償手当に相当する日数分だけの食事給付補償を請求することができる。

 繰越年次休暇に対する年次休暇補償手当は、雇用関係が終了した年に繰越年次休暇を受給したものとして計算される。

有給年次休暇の受給権が発生する前に、既に被用者が年次休暇給を受給している場合、年次休暇給の前受分は、その者が受給することのできる年次休暇補償手当の中で清算される。但し、本稿の規定は、次に掲げる場合には適用されない。被用者が年次休暇給の前受分を雇用関係の終了する5年前に受給している場合、または雇用関係が

  1. 被用者の傷病
  2. 雇用保護法(Lagen 1982:80 om anställningsskydd))第4条第3項前段の規定に定められている事情による場合、または
  3. 解雇が破産に関連して行われる場合以外に、被用者本人の個人的事情によるものでなく、使用者側の事情によって生じた場合(1994:637)

 第30条 年次休暇補償手当は、特別の事由のないかぎり、遅滞なく被用者に支払われなければならない。遅くとも雇用関係終了後、1ケ月以内に支給されなければならない。

 何等かの事情により、雇用関係終了後、1ケ月以内に年次休暇補償手当の計算ができない場合には、その事情が消滅した後、1週間以内に年次休暇補償手当を支給しなければならない。

 使用者の変更 (Övergång av företag)

  第31条 本法の規定によって被用者に保障されている権利は、企業の合併、譲渡によって何等影響を受けないものとする。

 同一コンツエルン内において使用者の変更が行われた場合、被用者は、年次休暇に関するかぎり、元の使用者の許で取得した権利と同じ権利を新しい使用者の許で取得のすることができる。但し、被用者が、元の使用者の許で既に年次休暇補償手当を受給している場合、または雇用関係終了後、遅くとも1ケ月以内に、新旧両使用者に対して、被用者のもっている年次休暇に関する権利を新しい使用者に移転する旨の通知をしなかった場合には、本項の規定は適用されない。

 前項の規定に定められている場合、新しい使用者は、本来ならば元の使用者が被用者に支払うべき年次休暇補償手当に相当する金銭を、元の使用者に請求することができる。

  損害賠償 (Skadestånd)

  第32条 使用者が本法の規定に違反した場合、被用者は、年次休暇給、年次休暇補償手当のほかに、使用者の年次休暇法違反によって被った損害の賠償を求めることができる。

 損害額の算定に際しては、被用者の被った財産的損害のみならず、被用者が年次休暇休を受給し得なかったことによって被った精神的損害およびその他の事情を考慮しなけはれならない。

 損害の程度、またはその他の状況からみて、相当とみなされる場合、使用者の損害賠償責任を軽減、もしくは免除することができる。

 時 効 (Preskription)

 第33条 本法の規定によって、年次休暇給、年次休暇補償手当もしくは損害賠償の請求を行おうとする場合、被用者は、その請求権の発生した年次休暇年が終了した時から2年以内に、訴えをもってその請求を行わなければならない。

 訴 訟 (Rättegång)

  第34条 本法に関する事件は、労働争訟に関する法律(Lagen (1974:371) om rättegången i arbetstvister)によって処理される。

                           以 上 (菱木昭八朗訳1994.7.9)


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