スウェ−デン氏名法 (Namnlagen1982:670)

 

 出生による氏の取得

 第1条 子が生れたとき父母が共通の氏を称している場合、子は父母の氏を取得する。

 子が生れたとき父母が別々の氏を称し、且つ、父母の許に共同監護に服する共通の子いる場合、生まれてきた子は直近兄姉の称している氏を取得する。

 子が生れたとき父母が別々の氏を称し、且つ第2項の規定が適用されない場合、生まれてきた子は出生後3ケ月以内に県税務事務所に届け出られた父または母の氏を取得する。その場合、父母の一方は婚姻前に称していた自分の氏を子の氏として届け出ることができる。子の氏について届け出が行なわれなかった場合、子は出生に際して母の氏を取得したものとみなされる。1991年法律第493号により改正。

 子の出生後3ケ月以内に子の父が確定されなかった場合、子は出生と同時に母の氏を取得したものとみなされる。

 養子の氏

 第2条 養親となる者が共通の氏を称している場合、養子は養子縁組と同時に養父母の氏を取得する。

 養父母となる者が別々の氏を称し、且つ養父母の許に共同監護に服している共通の子がいる場合、養子は養父母から最後に生まれた子が称している氏を取得する。

 養子縁組に際して養父母が別々の氏を称し、且つ前項の規定が適用されない場合、養子は養子縁組に際して養父母から届け出られた氏を取得する。  養子の氏の届け出に際して、養父母はそのいずれか一方が未婚のときに称していた氏を養子の氏として届け出ることができる。養子縁組に際して養子の氏の届け出がなされなかった場合、養子は養子縁組を通じて養母の氏を取得したものとみなされる。

 第3条 単身者の養子となった者は養子縁組を通じて養親の氏を取得する。養子縁組に際して養親が自己の氏に代えて未婚の時に称していた最後の氏を届け出た場合、養子は養親が未婚の時に称していた氏を取得する。但し、夫婦の一方が他の一方の子を自己の養子とした場合、子の氏は変動しない。

 第4条 裁判所は養子縁組に際して養子縁組前に称していた氏を養子の氏とすることができる。。

 子の氏の変更

 第5条 本法第1条の規定によって父または母の氏を取得した者は県税務事務所に届け出によって他の一方の氏にその氏を変更することができる。但し、変更取得しようとする氏が父または母が父母以外の者との婚姻を通じて本法第9条または第10条の規定によって取得した氏である場合、その婚姻の相手方の同意を得なければならない。

 県税務事務所への届け出を通じて子の氏を父または母が未婚のときに称していた氏に変更することができる。

 第1項または第2項の規定によって氏の変更を行なった者が変更のとき18歳未満であった場合、その者は県税務事務所への届け出によって第1項または第2項に定められている氏に氏を変更することができる。1991年法律第493号により改正。

 第6条 18歳未満の者が監護権をもっていない父又は母の氏を称している場合、第5条の規定によってその子の氏を変更しようとする場合、その氏を称している者の同意、または裁判所許可を得なければならない。

 第7条 養子が、本法第2条または第3条の規定によって取得した氏を、養親の他の一方の氏に、あるいはまた、養親が最初の婚姻前に称していた氏に変更しようとする場合には、第5条または第6条の規定が準用される。養子 縁組前の氏を称している養子が、養父母またはそのいずれか一方の氏に、 その氏を変更しようとする場合また同じ。

 第8条 18歳未満の者が両親以外の者によって養育されている場合、未成年者が称している氏を与えた者の同意と裁判所が子の利益になると認めた場合、県税務事務所への届出けによって子の氏を里親の称している氏に変更することができる。

 第1項の規定によって氏の変更を行なった者は県税務事務所への届出を通じて変更前の氏に戻ることができる。1991年法律第493号により改正。

 配偶者の氏への変更

 第9条 婚姻を行なう者は夫婦いずれか一方の氏を婚姻後の夫婦の共通氏として使用し、あるいはまた婚姻直前に称していたそれぞれの氏をそのまま婚姻後の氏として使用することもできる。

 婚姻を行なう者は遅くとも挙式まで県税務事務所に婚姻後に称すべき氏を届け出ておかなければならない。配偶者の一方が婚姻後の夫婦の共通氏として他の一方の氏を選択した場合、その者は挙式と同時に他の一方の氏を取得する。

 婚姻によって配偶者の一方が他の一方の氏を取得しようとする場合、他 の一方の同意を得なければならない。但しその氏は他の一方が婚姻によっ て取得した氏でないことを要する。1991年法律第493号により改正。

 第10条 婚姻に際して婚姻後に称すべき氏として自己の婚姻前の氏を選択した者は、婚姻後相手方の同意と県税務事務所への届出によって相手方の氏を自己の氏とすることができる。

 第9条または本条第1項の規定によって氏の変更を行なった者は県税務事務所への届出を通じて婚姻前の未婚の氏に復することができる。

 婚姻中夫婦の一方が他の一方の氏を取得しようとする場合、取得しようとする氏は、婚姻によって取得した氏、本条第2項、第5条または第7条の規定によって取得した氏でないことを要する。1991年法律第493号により改正。

 新設氏への変更

 第11条 新しく創設された氏に自己の氏を変更しようとする場合、または第1条乃至第10条の規定によって取得した氏以外の氏に自己の氏を変更しようとする場合、特許登録局に対して氏の新設または変更許可を申請しなければならない。本条の規定によって氏の変更を行なったことのある者は特別の理由のない限り本条の規定による氏の変更は認められない。

 氏の変更を行なう者が18歳未満である場合、特許登録局は裁判所の許可がない限りその変更申請を許可してはならない。

 氏の綴り方を変更する場合本条にいう氏の変更とみなされる。

 第12条 新設しようとする氏が次の各号の規定に該当する場合これを許可してはならない。

  1. 綴り方、構成、発音上、スウェ−デン国内において氏として使用することが不適当と思われる場合
  2. 一般的に名前として用いられている名称で特に氏として用いられなければならない特別の理由のない場合
  3. 二重氏となる場合
  4. 鉄道駅名、郵便局名またはそれに類する名称でその名称を使用することによって一般大衆に対して誤解もしくは迷惑を及ぼす場合
  5. 他人に対して不愉快感を与える場合、もしくは、
  6. その氏を称する者にとって嫌悪を感ずる場合

 第13条 新設氏であると否とにかかわらず、次の各号の規定に該当する場合、その申請を許可してはならない。

  1. 申請氏が法律によって既に他人によって使用されている氏または他人に使用する権利が与えられている氏と容易に混同されやすい場合
  2. 申請氏が廃絶した一族によって使用されていた氏で、且つ一般的によく知られている氏と容易に混同されやすい場合
  3. 申請氏が一般的によく知られている外国氏と容易に混同されやすい場合
  4. 申請氏が一般的によく知られている芸術家もしくはそれに類する者の氏と容易に混同されやすい場合
  5. 申請氏が法人または法人に類する団体名と容易に混同されやすい場合
  6. スウェ−デン国内において法的に保護されている企業名、商標名、もしくはスウェ−デン国内において営業活動を行なっている業者によって使用されているその他の名称と容易に混同されやすい名称の場合
  7. 法的に保護されている芸術作品に与えられている名称で、且つその名称が特殊なものであるとき、またはその名称が特にその作品のために付けられた名称で、且つその名称が使用されることによって作者の著作権が害されるおそれのある場合

 氏の新設申請によって新しい氏を取得した場合、新設氏取得者の父母、兄弟姉妹、兄弟姉妹の子は第1項第1号の規定にかかわらず新設氏の取得者の同意と特許登録局の許可を得てその氏を取得することができる。

 申請によって新設氏を取得した者が複数いる場合、その全ての者の同意を得なければならない。

 第14条 特別の理由がある場合、第12条、第13条の規定にかかわらず父または母の名前の末尾に息子もしくは娘を付加することによって新しい氏を作ることができる。また申請者は第16条乃至第19条の規定によってその氏を失うことなく申請前に称していた氏に息子または娘という用語を追加することによって新しい氏を作ることができる。

 相当の理由がある場合、第12条または第13条の規定と関係なく新しい氏を作ることができる。

 氏の性の変更

 第15条 外国氏の性の変更は本法にいう氏の変更とみなされない。氏の性の変更は県税務事務所への届け出によって行なわれる。1991年法律第493号により改正。

 氏の喪失

 第16条 出生に際して父の氏を取得した者が、その後父以外の子であるということが確定した場合、その時点で父の氏を失い出生の際に母が称していた氏を取得する。その場合、子は第1条の規定によってその氏を取得したものとみなされる。

 裁判所によって相当とみなされる事由がある場合、子は継続して父の氏を称することができる。裁判所において父性確定の問題が争われている場合、裁判所は判決と共にその許可を与えることができる。それ以外の場合にあっては父性の確定が行なわれた後1ケ月以内に裁判所に対して氏の継続使用許可の申し出を行なわなければならない。

 第17条 届け出によって取得すべき権限のない者が県税務事務所への届け出によって他人の氏を取得し、且つその氏の取得が前条の規定と関係がない場合、自己の氏を僭取された者から氏の喪失を求める訴えが提起されたとき、裁判所は僭取者においてその氏を称する相当の事由ある場合を除いて氏の喪失決定を行なわなければならない。裁判所の決定により氏を喪失した者は届け出前の氏を取得する。1991年法律第493号により改正。

 第18条 特許登録局の許可を得て他人が新しい氏を取得したことによって第13条の規定に定められている不利益を被る者は新氏の取得者を相手方として裁判所にその氏の喪失決定を求める訴えを提起することができる。  裁判所の決定により、氏を喪失した者は、喪失前に称していた氏を取得する。

 第19条 ある者が第16条乃至第18条の規定により氏を失うべき場合、もしくはそのことについて訴えの提起があった場合、氏を喪失すべき者より喪失すべき氏を取得している者または喪失すべき氏を称する権利を取得している者に特に継続してその氏を称して行かなければならない事由がない限り、裁判所は氏の喪失または氏の使用権喪失の宣告を行なわなければならない。第16条乃至第18条の規定によって氏を失うべき者が死亡している場合でもまた同じ。

 前項の規定によってある者が氏を失わなければならない場合、裁判所は失うべき氏に代えて氏の喪失者の取得することのできる氏を第1条乃至第10条の規定によって確定しなければならない。

 特殊な氏の保護

 第20条 ある者が特殊な氏を取得している場合、何人もその氏と紛らわしい氏を使用してはならない。但し本法の規定によってその氏を使用することが認められている場合、血族氏としてその氏の使用が認められている場 合または土地の慣習によってその氏を称することが認められている場合にはその限りでない。

 何人も正当な理由なしに特殊な氏を称している者の利益を害する方法でその氏と容易に混同されやすい商号、商標名その他の名称を営業活動において使用してはならない。ここに商号とは財団名、社団名その他それに類する団体の名称のことをいう。

 ある氏が特定の血族の一員であることを示すために用いられている場合、その氏は特殊な氏とみなされる。

 第21条 芸術家、またはそれに類する者がある者の特殊な氏と容易に混同されやすい名称を自己の職業上の名称として使用したことによって著名になった場合、既にその名称を自己の特殊な氏として使用している者は職業上の名称としてその氏を使用している者に対して相当の期間内にその名称の使用の差し止めを請求することができる。相当期間内に使用差し止め請求を行なわなかった場合、第20条の規定に関係なく芸術家はその名称を継続して使用することができる。

 第20条第2項に定める名称が後になってよく知られるようになった場合であってもその名称を特殊な氏として使用することが認められている者がいる場合、前項の規定が適用される。

 本条第1項、第2項の規定に定められている場合または裁判所は相当の事由がある場合、特別の方法をもって特殊な氏を芸術家の名称また商号として使用すること認めることができる。

 第22条 特殊な氏の存在確認の訴えが提起されたとき、または特殊な氏に対する侵害排除の訴えが提起されたときその訴えを提起した理由が不明確で、且つそのために訴えを提起した者に不利益が生ずるおそれある場合、その訴えを受理してはならない。

 第23条 他人の特殊なを称することによってその氏を称する者に対して損害を与えた場合、加害者はその損害が発生することを知りまたは発生することを知りうべき場合その損害を賠償しなければならない。損害の算定にあたっては財産的損害のみならず精神的損害も考慮しなければならない。

 中間氏

 第24条 婚姻により氏の変更を行なった者は中間氏として婚姻前に称していた自己の氏を使用することができる。

夫婦がそれぞれ異なる氏を称している場合、配偶者の一方は相手方の同意を得て他の一方の氏を自己の中間氏として使用することができる。

  但しその氏は相手方が婚姻によって取得した氏であってはならない。相手方の氏を自己の中間氏として使用することが認められた場合、その使用権は婚姻の解消によって何らの影響を受けないものとする。配偶者の一方はその相手方が死亡した後でも自由に死亡した配偶者の氏を自己の中間氏として使用することができる。

 第25条 父または母の氏を称している子は他の一方の氏を中間氏として使用することができる。

 父または母が再婚により新しい氏を取得した場合、子は父または母の再婚の相手方の同意を得てその氏を自己の中間氏として使用することができる。

 第26条 養子縁組に際して養親の氏を取得した者は養子縁組前に称していた自分の氏を中間氏として使用することができる。別々の氏を称している夫婦の養子となった者が、そのいずれか一方の氏を取得した場合、養子は他の一方の氏または養子縁組前に称していた自分の氏を中間氏として使用することができる。

 養子が養子縁組前の氏を養子縁組の後の氏として使用している場合、養子は養親または養親のいずれか一方の氏を自己の中間氏として使用することができる。 

 養親の一方が再婚によって新しい氏を取得した場合、養子は養親の再婚後の配偶者の同意を得て養親の取得した新しい氏を自己の中間氏として使用することができる。

 第27条 単身者の養子となった者が養親の氏を称している場合、養子は養子縁組前に称していた自己の氏を中間氏として使用することができる。

 養親が婚姻により新しい氏を取得した場合、養子は養親の配偶者となる者の同意を得て養親が婚姻により新しく取得した氏を自己の中間氏として使用することができる。

 第28条 継続的な養育を受けるために他人の家庭に引取られている18歳未満の子が里親のいずれか一方の氏を取得した場合、里子は他の一方の氏を自己の中間氏として使用することができる。

 第29条 第24条乃至第28条の規定によって同時に複数の中間氏を取得することはできない。中間氏は常に氏の直前におかなければならない。

 中間氏を使用しようとする者はその旨を県税務事務所に届け出なければならない。中間氏の使用をやめる場合また同じ。1991年法律第493号により改正。

 名 前

 第30条 子には出生後3ケ月以内に県税務事務所に届られる単数または複数の名前が与えられる。1991年法律第493号により改正。

 第31条 第30条の規定によって単数の名前を取得した者は県税務事務所への届出によって更にもう一つまたは複数の名前を取得することができる。

第30条の規定によって複数の名前を取得した者は県税務事務所への届け出によってその名前を変更しまたはその名前を加除することができる。但し第30条の規定によって複数の氏を取得した場合、その一つは常に保持しておかなければならない。

 本条の規定による届け出は一回だけに限られる。1988年法律第261号および1991年法律第493号により改正。

 第32条 複数名前をもっている者がその順序を変えようとする場合、その旨を県税務事務所に届け出なければならない。発音を変えることなしにその綴りを変更する場合もまた同じ。1991年法律第493号により改正。

 第33条 第30条乃至第32条の規定に定められている場合を除いて特に名前の追加、変更または抹消を行なう必要ある場合、特許登録局の許可を得てこれを行なうことができる。

 第34条 何人も他人に対して不愉快感を与える名前またはその名前を称する者にとって嫌悪を感ずる名前、あるいはまた名前として用いるにふさわしくない名称を名前として使用してはならない。1991年法律第493号により改正。

 第35条 婚姻または血族関係が発生したとき郷名(Grdsnamn)を付加名として用いる慣習がある場合、県税務事務所への届け出によってその郷名を付加名として名前の後に付加することができる。現に使用している郷名を廃止しようとする場合もまた県税務事務所に届け出なければならない。1991年法律第493号により改正。

 本法に関する事件処理手続

  県税務事務所等へ届出

 第36条 県税務事務所への届出は届出の対象となっている者が居住している県または最後に国民登録を行っている県において審理される。届出の対象となっている者がスウエ−デン国内に国民登録を行っていない場合、届出は政府によって指定もしくは選定したされた県税務事務所において審理される。

 県税務事務所への届出は書面によって行なわなければならない。

次の各号に該当する場合、その届出は県税務事務所への届出とみなす。

  1. 特定されていない県税務事務所への届出または社会保険事務所への届出
  2. 挙式の際に行われた挙式執行者への婚姻後の氏の届出およびスウエ−デン教会において行われた洗礼に際して洗礼執行者に対して行われた名前の届出 1991年法律第493号により改正。

 第37条 県税務事務所の決定に対する異議ある場合、地方行政裁判所に対して異議の申立てを行なうことができる。1991年法律第493号により改正。

 第38条 1991年法律第493号により削除。

 

 特許登録局への申請

 第39条 特許登録局への申請はすべて書面によってこれを行なわなければならない。申請書には申請者の住所および申請事由を記載しなければならない。申請書には申請者の身分証明書を添付しなければならない。

 申請者は申請手数料を納付しなければならない。申請手数料の額については別に政令によってこれを定める。1991年法律第493号により改正。

 第40条 申請者が所定の手続きを怠っている場合、もしくは特許登録局において申請手続きに瑕ヒを発見した場合、特許登録局は申請者をしてその理由を説明せしめ、且つその瑕ヒの是正を命ずることができる。申請者が その命令に従わない場合その申請を却下することができる。

 申請者においてその不備の理由を陳述した後でも、特許登録局において、尚その申請を受理する理由を見いだし得ない場合、改めて理由を求めないでその申請を却下することができる。

 本条に定める命令はこれを申請者に通知しなければならない。

 第41条 第11条の規定に定める場合、申請書類に瑕ヒがなく、且つその申請を却下する事由が見当らない場合、特許登録局は申請の要旨を官報に掲載しなければならない。但し、特許登録局において掲載の必要性を認めない場合にはその限りでない。

  掲載が行なわれたとき、掲載内容に異議ある者は1ケ月以内に書面をもって異議の申し立てを行なうことができる。特許登録局は1ケ月の期間を経過した後、その問題に対する決定を行なわなければならない。

 第42条 申請者の意思と異なる特許登録局の最終決定がなされた場合、申請者はその決定に対して異議の申し立てを行なうことができる。反対の意思表示があるにもかかわらずその申請が許可された場合、反対の意思表示をなしたる者は異議の申し立てを行なうことができる。反対の意思表示を行なった者がその訴えを取り下げた場合であっても相当の理由がある場合、その訴えを審理の対象とすることができる。

 第1項に定める決定に対する異議の申し立ては特許事件審判所に対してこれを行なわなければならない。

 第43条 特許事件審判所の最終決定に対する異議申し立ては行政最高裁判所に対してこれを行なう。最高行政裁判所に対する異議申し立ては高等行政裁判所の決定に対する異議申し立て手続法第35条乃至第37条の規定が準用される。特許事件審判所の決定が最高行政裁判所において審理を受けるためには特別の許可を必要とする資料ならびにそのような許可が認められる資料を含んでいなければならない。

第44条 氏に関する申請が許可された場合、その許可が確定した後特許登録局は申請者に対して許可証を交付しなければならない。

 裁判手続

 第45条 本法第6条、第8条または第11条による氏の変更が子のためになるという判断は子の親権者決定の問題を取り扱う裁判所において行なわれる。

 第1項に関する事件において子が変更取得しようとする氏を称している者が子の親権者となっていない場合、可能な限り裁判所はその者の意見を聞かなければならない。さらにまた裁判所は社会福祉委員会の意見を聞かなければならない。

 第1項に関する事件において裁判所は両当事者に対して訴訟費用の分担を命ずることができる。1988年法律第2611号により改正。

  第46条 本法第16条に関する申請は子の親権者決定の問題を審理する裁判所に対してこれを行なう。子に親権者がいない場合、その申請は子が住所を有する地区の裁判所に対してこれを行なう。相当管轄裁判所のない場合にはストックホルム地方裁判所をもって管轄裁判所とする。

 前項に定める場合、裁判所は可能な限り子が変更取得しようしている氏を称している者の意見を聞かなければならない。子が18歳未満の場合でその母親が親権者となっていない場合には、母親および社会福祉委員会の意見を聞かなければならない。

 第47条 特別の裁判で争われる氏の訴えは被告が普通裁判籍を有する地区の地方裁判所に提起しなければならない。相当裁判所がない場合、ストックホルム地方裁判所が管轄裁判所となる。

 第18条に定める訴えは特許登録局の決定が確定してから5年以内にこれを行なわなければならない。前項の規定はある者が特許登録局の許可を得て取得した他人の氏を戸籍管掌牧師への届け出によって取得した場合、第19条の規定によって他人の氏を僭称している者相手方として訴えを提起する場合にもまた同じ。

 特別規定

 第48条 18歳未満の者ためになされる届け出または許可申請はその子に対して親権を有する者によって行なわれる。子の年齢が12歳に達している場合、精神病またはその他の精神障害によって同意を得ることができない場合を除き、本人の同意を得なければならない。

 第49条 本法に定める同意は書面でこれを行なわなければならない。但し第6条、または第8条に定める事件においてその同意書が裁判所に提出された場合、県税務事務所への届け出には同意書の提出を必要としない。1991年法律第493号により改正。

 国際関係

 第50条 本法の規定は、デンマ−ク、フィンランドまたはノルウェ−に住所を有するスウェ−デン人については適用されない。[Lag 1985:372]

 第51条 本法の規定は、スウェ−デンに住所を有するデンマ−ク人、フィンランド人またはノルウェ−人に適用される。

 スウェ−デン国内に住所を有するその他の外国人は本法の規定に基づいて県税務事務所への届け出または特許登録局の許可を得て氏の取得、変更または保有を行なうことができる。本項の規定に基づいて取得した氏については第16条乃至第23条の規定が準用される。スウェ−デン国内に在住する外国人の場合、県税務事務所への届け出によって中間氏を取得することができる。

 スウェ−デン法の規定に基いてスウェ−デン国内においてスウェ−デン人の養子となった外国人については常に第2条乃至第4条の規定が準用される。1991年法律第493号により改正。

 第52条 本法の規定はスウェ−デン国内に住所を有する無国籍者または如何なる国にも住所を有せざる場合で、且つスウェ−デン国内に居所を有する者についても適用される。[Lag 1982:1134]

1. 本法の規定は、1983年1月1日からその効力を有する。但し第50条の規定はフィンランドに住所を有するスウェ−デン人については、別に政令をもってその施行日を定める。政令1985年第906号

   フィンランドに住所を有するスウェ−デン人については氏名法第50条の規定は1986年1月1日からその効力を発する。

  2.本法の施行と共に、旧氏名法[Namnlagen 1963:521]は廃止される。法令、その他の規定において新氏名法の規定が取って代るべき定めある場合、新法の規定が適用される。

  3.特に別段の定めがない限り本法施行以前に行なわれた届け出または許可申請で未だ最終的に決定されないものについては、新法の規定が適用される。

  4.旧氏名法の規定に基づいて取得した名前および血族名は新法における同規定によって取得した名前または氏として取り扱われるものとする。

    旧氏名法において取得した付加氏は本法において中間氏として取り扱われるものとする。

  5.旧氏名法以前の規定によって自己の固有の氏と夫の氏を結合した氏を称している女が再婚する場合、新法の適用に際して一つの氏は前婚によって取得した氏として取り扱われるものとする。

  6.許可申請が新法施行以前に特許登録局によって受理されたものでない限り第13条第7号の規定は適用されない。

  7.本法施行以前になされた親子関係不存在確認に関する第1審裁判所判決については旧法の規定が適用される。

  8.12歳以上の子の同意を定めた第48条の規定は届け出また許可申請が新法施行以前に行なわれている場合には適用されない。

  9.本法施行以前の婚姻によって妻が夫の氏を取得している場合、または本法施行以前の婚姻に際して最初の婚姻前に称していた氏と異なる氏を称してた場合で、且つその後、夫婦が氏の変更を行なっていない場合、夫婦は妻が未婚のときに称していた氏を共通氏として取得することができる。

     但し、その場合、夫婦は共同してその旨を戸籍管掌牧師に届け出なければならない。その場合、新法第9条の規定によってその氏を取得したものとみなされる。1991年法律第493号により改正。

以 

          氏に関する規則

 特許登録局に対する申請手続

 第1条 特許登録局に対して氏の許可申請を行なう場合、申請者は申請が名前に関する場合600クロ−ネ、氏に関する場合1000クロ−ネを手数料として支払わなければならない。

 氏に関する申請が第5条の規定に基づいて発行される氏証明の共通の者に対するものであるとき、その手数料は一人の手数料で足りる。その他の場合にあっては氏の申請が複数の者に及ぶ場合でもその手数料は2倍を越えてはならない。1991年政令第22号により改正。

 第2条 氏名法第11条第2項の規定により、特許登録局が裁判所の許可をもって子の氏の変更条件とする場合、特許登録局は申請者に対して一定の期間内に裁判所に対して許可申請を行なうことを命ずることができる。

 第3条 氏名法第41条に定める氏の許可申請に関する公告は、申請氏と申請日を記載しなければならない。申請に対して異議ある場合公告の日から1ケ以内に書面をもって特許登録局に異議の申し立てを行なうことができる旨を記載しておかなければならない。

 第4条 氏の公告に対して異議の申し立てが行なわれた場合、異議の申し立てに相当と認められる事由があるとき相当の期間内に申請者の意見を聞かなければならない。

 第5条 氏名法第44条に定める氏証明は各申請者に対して個別的に発行される。

 但し夫婦および18歳未満の子をもっている親子については共通の証明が発行される。

 特許登録局からの通知

 第6条 特許登録局が名前に関する許可決定を行った場合、特許登録局はその決定が確定したとき県税務事務所そのことを通知しなければならない。

 通知は申請者が居住している県の県税務事務所またはその者が最後に国民登録を行っている県の県税務事務所に行わなければならない。1991年政令第785号により改正。

裁判所からの通知

 第7条 裁判所が氏名法第11条第2項によって氏の変更が子のためになるか否か審査した場合、裁判所はその決定が確定したとき、速やかにその旨を特許登録局に通知しなければならない。

 第8条 裁判所が氏名法第2条第3項、第3条の規定により養子の氏に関する届け出を受けたとき、養子縁組成立後、裁判所は直ちにその旨を県税務事務所に通知しなければならない。裁判所が第4条の規定により養子に対して養子縁組前の氏を称することを認めた場合、裁判所は養子縁組成立後、直ちにそのことを県税務事務所に通知しなければならない。

 裁判所からの通知は養子が居住している県の県税務事務所またはその者が最後に国民登録を行っている県の県税務事務所に行わなければならない。1991年政令第785号により改正。

 第9条 裁判所が氏名法第16条第2項により子が自己の氏を保持するこを認めた場合、裁判所はその決定が確定したときその旨を県税務事務所に通知しなければならない。

 その通知は子が居住している県の県税務事務所またはその者が最後に国民登録を行っている県の県税務事務所に行わなければならない。199年政令第785号により改正。

 第10条 氏名法第17条乃至第19条の規定により裁判所が氏の喪失を決定した場合、裁判所はその決定が確定した後速やかにその旨を県税務事務所に通知しなければならない。

 その決定の通知は氏を喪失した者が居住している県の県税務事務所またはその者が最後に国民登録を行っている県の県税務事務所に行わなければならない。通知には失った氏の名称および新しく取得した氏の名称を記載しておかなければならない。1991年政令第785号により改正。

 第11条 裁判所が氏名法第17条乃至第23条または第34条の適用に関する判決または決定を通知する場合、裁判所はその写しを特許・登録局に送付しなければならない。1991年政令第785号により改正。

 第12条 1991年政令第785号により削除。

 補 則

 第13条 国税庁は県税務事務所における氏名法の実施に必要な事項を定めることができる。1991年政令第785号により改正。

 第14条 国税庁は氏名法第36条第1項後段に定められている届け出を審理する県税務事務所を選定しなければならない。1991年政令第785号により追加。                    

以  上 (菱木昭八朗訳)


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