第13章 財産分割の効果

(Verkan av bodelning)

 

 第1条 財産分割に際し、債権者の利益を害する目的をもって特有財産を婚姻財産に変更または本法に定められている以外の方法をもって、財産分割の対象となる財産に対する権利を放棄することができない。

 財産分割に際し、債権者の利益を害する目的をもって差押え可能な財産を差し押えのできない財産に変更してはならない。但し、本項の規定は、放棄されるべき財産または取得さるべき財産が、夫婦の共用住居または共用家財であるとき、もしくは第11章第8条の規定に基づいて取得することのできる財産の場合には適用されない。

 第1項または第2項の規定に定められている行為によって、配偶者の一方が財産分与の行われる以前に発生した債務を弁済することができなくなった場合、またはその他の事由によって債務を弁済することができなくなった場合、他の一方の配偶者はその行為によって減少された差押え可能な財産の限度額において、その責任を負担しなければならない。但し、債務配偶者が財産分割後、明らかにその債務を弁済するに足る差押え可能な財産を有していた場合にはその限りでない。

 破産法または和議法により財産分与の取り消し訴訟が提起された場合、配偶者は本条の規定によりその責任を主張することができない。(1987:678)

 

 第2条 死亡した配偶者の債務については、第1条の規定に代って相続法の規定が適用される。

 生存配偶者と死亡した配偶者の相続人または包括的受遺者との間で財産分与が行われ、且つ生存配偶者が第1条に定められている行為を行った場合、相続人及び包括的受遺者は連帯して第1条に定められている責任を負わなければならない。

 

 第3条 第11章第4条第1項の規定により、贈与財産が資産の中に含まれているものとして配偶者の財産分与分の計算が行われ、且つ財産分与に際して、配偶者がその分与分を取得することができなかった場合には、次の規定が適用される。財産を譲り受けた者が、その贈与によって、他の一方の利益が侵害されることを知り、もしくは知りうべかりし場合、財産の贈与を受けた者は、贈与財産の中から損害額に相当する金銭を被害配偶者に返還しなければならない。但し、その返還請求は贈与が行なわれてから5年以内に訴えをもってこれを行わなければならない。

 財産分与が行われた時点において、未だその贈与契約が完成されていない場合、財産を譲り受けた者は受益配偶者の財産分与分を害する限り、その履行を請求することができない。

 

 第4条 第11章第4条第2項によって、年金保険が資産の中に含まれているものとして配偶者の財産分与分の計算が行われた場合、財産分与に際して、配偶者の一方が自己の財産分与分を取得することができなかったとき、保険会社は保険契約者の保険金の中からその不足分を支払わなければならない。支払いは、直接、保険契約者の配偶者に対してこれを行わなければならない。年金預金口座の場合もまた同様である。(1994:933)

 

 第5条 財産分割証書に分筆の条件を示されず、夫婦の持ち分だけが記載されている場合、その不動産は夫婦の共有財産とみなされる。

 不動産の一部が第三者の所有に帰属することを内容とした財産分与はその限りにおいて無効とする。

 

 第6条 財産分与が完了したとき、夫婦またはそのいずれか一方は、登録のため裁判所に財産分割証書を提出しなけはれならない。

以  上

 

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