被害者のための訴訟代理人に関する法律

(Lag (1988:609) om malsagandebitrade)

 第1条 次に掲げる犯罪に関して捜査が開始されたとき、その裁判において原告のために特別の訴訟代理人(原告訴訟代理人)(malsagandebi trade)が選任される。

 1.刑法第6章に規定されている犯罪。但し、明らかに原告が被害者訴訟代理人を必要としない場合にはその限りでない。

 2.刑法第3章または第4章に規定されている犯罪で、且つその犯罪が懲役刑に相当する場合、または刑法第8章第5条もしくは第6条に規定されている犯罪またはそれら犯罪の未遂、予備または共犯事件。但し、被疑者に対する原告の個人的事情またはその他の状況からみて、原告が被害者訴訟代理人を必要としないと思われる場合にはその限りでない。

 3.その他刑法上の犯罪で、且つ懲役刑に相当する場合、原告の個人的事情またはその他の状況からみて、特に原告が被害者訴訟代理人の選任を必要とする特別の事由があるとみなされた場合

 検察官または被告人が刑事事件判決に対して異議の申し立てを行った場合、上級審においても被害者訴訟代理人を選任することができる。(lag 1994:59)

 第2条 検察官が不起訴処分の決定を行った場合、または公訴棄却の言い渡しが行われた場合、被害者訴訟代理人を選任することができない。(lag 1994:59)

 第3条 被害者訴訟代理人は裁判において原告の利益を保護し、且つ原告に対して援助を与えなければならない。

 犯罪事件に関し、検察官が付帯私訴を提起しなかったため、その事件を理由として原告が付帯私訴を提起する場合、被害者訴訟代理人はその訴えを援助しなければならない。また民事訴訟規定によって特別の事件として処理されるため、付帯私訴事件が訴訟法第22章第5条によって分離される場合であっても、その事件が訴訟法第1章第3条d項によって処理されない限り、被害者訴訟代理人の任務は存続する。また地方裁判所判決の付帯私訴の部分のみが異議の申し立ての対象となっている場合、被害者訴訟代理人の任務は存続する。(1994:59

 第4条 被害者訴訟代理人は原告から請求が行われた場合、またはその必要がある場合に選任される。被害者訴訟代理人が選任される場合、法律扶助法第26条第1項が準用される。

  被害者訴訟代理人の変更、変更後の被害者訴訟代理人の復任権については法律扶助法第26条第2項及び第3項が準用される。

  訴訟の状況からみてまたは解任の事由がある場合、またはその他の解任の必要がある場合、被害者訴訟代理人を解任することができる。

  それ以外の場合、被害者訴訟代理人に対しては、訴訟法の訴訟代理人に関する規定が準用される。(1996:1644)

 第5条 被害者訴訟代理人は法律扶助弁護士に適用される法律扶助法第27条の規定に従って、報酬請求を行なうことができる。被害者訴訟代理人の報酬請求に関しては法律扶助法第29条、第43条及び第47条の規定が適用される。

 第6条 被害者訴訟代理人が選任された場合、その後に発生した証人喚問、証拠調べ費用は、原告が付帯私訴事件に関して法律扶助給付が認められたものと同様の範囲において、給付を受けることができる。

  第3条第2項の規定によって被害者訴訟代理人の任務が継続している場合、原告は政府によって定められた規定によって、裁判所等への出頭に関連して生ずる旅費及び滞在費を国に対して請求することができる。

 第7条 本法に規定されている問題は裁判所において決定される。但し、第6条に規定されている事件については、法律扶助法第17条の規定によって法律扶助弁護士に認められている範囲において、被害者訴訟代理人自ら調査を決定することができる。(1996:1644)

 第8条 裁判所において国庫から支払われることが決定された国選弁護人費用の国庫への返還義務を定めた訴訟法第31章の規定は、被害者訴訟代理人の費用についても準用される。第3条第2項の規定によって被害者訴訟代理人の任務が継続する場合、その費用に関しては、相手方当事者の裁判費用の負担を定めた訴訟法第18章の規定が準用される。

                       以上(菱木昭八朗訳)

註1 付帯私訴(talan om enskilt anspråk) 公訴に付帯してなされる損害賠償請求訴訟。わが国の場合、旧刑事訴訟法では認められていたが新しい刑事訴訟法によって廃止されている。

註2 条文末尾の括弧内数字は法律改正年及び改正号を示す。

参考文献、Prop.1987/88:107

 

 被害者代理人法施行規則(Förordning (1997:408) om målsbiträdande)

 第1条 本法において被害者訴訟代理人法の適用に関する規則を定める。

 第2条 被害者訴訟代理人法及び本法の適用に際しては、弁護士事務所に補助者として雇われている者で、大学法学部において法学士の称号を取得し、且つスウェーデン弁護士協会に弁護士登録を行っている者は弁護士事務所における補助弁護士とみなされる。

 第3条 被害者訴訟代理人に関する費用、タックス、及び費用計算に際しては法律扶助法施行規則第第19条、第20条及び第24条中段の規定が適用される。

 第4条 収支計算書は費用を決定する裁判所に提出しなければならない。

 捜査協力者に対する報酬

 第5条 被害者訴訟代理人法の規定によって捜査に協力した者に対する報酬は相当の対価が支払われる。法律扶助法第17条に規定されている費用は付加価値税を含めて計算される。

 捜査の際に協力した者に対する出頭旅費については国費による証人喚問費用の支払いに関する規定が適用される。

 捜査報酬を請求する者は、報酬を決定するために必要な書類を提出しなければならない。その際、常に任務の遂行に要した時間を記載しておかなければならない。

 国庫への返還

 第6条 異議の申し立ての後、裁判所において被害者訴訟代理人に対して、異議の申し立て決定において定められた金額より低い金額が定められた場合、早急に超過分を国庫に返還しなければならない。訴訟代理人が前金として最終的に認められた金額より多い金額を受け取っている場合、訴訟代理人は超過受け取り分を国庫に返還しなければならない。

 報告

 第7条 裁判所は裁判所事務総局において制定されている規則により被害者訴訟代理人問題の決定を裁判所事務総局に提出しなければならない。

                   以上(菱木昭八朗)


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