コンピュータ制御による受刑者の集中監視に関する法律

(Lag [1994:451] om intensivövervakning med elektronisk kontroll.)

 本法の適用範囲

 第1条 本法の規定は、受刑者が最高3ヶ月以下の懲役刑(fangelse i hogst tre manader)に処せられた場合、その懲役刑判決(dom pa fangelse)を執行する場合に適用される。但し、受刑者が刑法第28章第3条の規定によって懲役刑に処せられた場合には適用されない。(1996:784)

 第2条 第1条に規定されている場合、受刑者から申し立てがあったとき、刑務所外の場所において、懲役刑(fangelsestraffet)の執行を許可することができる。但し、受刑者が刑務所外刑の執行の申し立ての対象となっている犯罪以外の理由によって刑務所に拘留、収監された場合、または刑務所外刑の執行を行うことが不適当とみなされる特別の事由がある場合、その申し立てを許可することができない。

 受刑者が過去において集中監視の方法をもって刑務所外刑の執行を受けたことがある場合、刑務所外刑の執行の申し立ては、上記、刑の執行が行われた後、最低3年間、罰金刑以上の刑罰に相当する罪を犯していない場合においてのみこれを認めることができる。

 刑務所外刑の執行については本法の規定が適用される。刑務所外刑の執行は受刑者の住居している地域を管轄する地方矯正局(den lokal kriminalvårdsmyndighet)の指揮の許に実施される。

 受刑者が仮釈放(villkorlig frigivning)決定を受けている場合、事後の刑の執行については、刑務所内における刑の執行に関する法律(lag [1974:203] om kriminalvård i anstalt)の規定が適用される。(1998:618)

 刑の執行方法

 第3条 刑務所外刑の執行は、仕事、教育、入院治療または日常生活にとって必要な物品の購入等のため、特別に指定された時間及び場所以外への立ち寄り禁止を付帯条件として、電子制御による集中監視の方法をもって行われる。付帯条件が守られているか否かは電子制御の方法をもって監視される。

 第4条 受刑者は刑務所外刑の執行中、自己の能力に従ってその生活を維持し、本法の規定または本法の規定に基づいて作成された行動要綱に従って自己の生活改善に努力しなければならない。受刑者は刑の執行中、アルコール、麻薬、ドーピング物質の使用禁止に関する法律(lag [1991:1969] om förbud mot vissa dopningsmedel)第1条に規定されている物質、及び健康に有害な物質の使用禁止に関する法律(lag [1999:42] om förbud mot vissa hälsofarliga varor)に規定されている物質を摂取してはならない。

 受刑者は刑の執行中、治療またはそれに類する事由による場合を除いて、有害物質の影響を受けていないか、または第1項後段に規定されている物質に影響されていないことを検査するため、要請があった場合、血液、尿または呼気を提出しなければならない。受刑者がアルコールを摂取しているか否かを検査するため電子機器を利用することができる。(1999:56)

 第5条 受刑者は刑務所外刑の執行中、その間に取得する収入の中から相当とみなされる執行手数料を支払わなければならない。

 執行手数料は刑の執行期間中、1日につき50クローネを限度して、総額3000クローネまでとする。手数料は前納とし、犯罪者基金財団(brottsofferfonden)に帰属する。(1996:784)

 第6条 刑務所外刑の執行中、地方矯正局は受刑者に対して充分な監督を行い、且つ受刑者の行動を把握しておかなければならない。地方矯正局はまた援助を通じて受刑者の再犯を防止しに努めると同時に受刑者の社会復帰の促進に努力しなければならない。

 地方矯正局は必要に応じ、受刑者の行動を監視するため一人または複数の監視補助者を選任することができる。(1998:618)

 第7条 受刑者は刑務所外刑の執行中、刑の執行に関して重要な意味を有する状況を地方矯正局に報告し、地方矯正局からの呼び出しがあった場合、地方矯正局に出頭し、更に地方矯正局の指示に従って地方矯正局と連絡を保持しなければならない。地方矯正局によって定めている指示事項は、監視のために選任された監視補助者に対しても同様に適用される。(1998:618)

 第8条 刑務所外刑の執行に際し、受刑者が遵守すべき特別の事項を定めることができる。遵守事項には次の事柄を記載しておかなければならない。

 1.刑の執行中に受刑者が居住する住居

 2.刑の執行中における受刑者の就労、その他の職業活動、教育またはその他の仕事

 3.刑の執行中に受刑者が住居以外に滞在することの許されている時間、理由

 4.刑の執行中に受刑者が地方矯正局及び及び第7条の規定によって選任された監視補助者との連絡方法及び連絡事項

 5.受刑者が第5条の規定によって納付すべき金額、及びその納付時期

 遵守事項の中には病気治療、アルコール治療、またはその他の医療保護、処置、または受刑者の状況からみて相当とみなされるプログラムまたは事業活動への参加等を加えることができる。(1998:618)

 法の適用に関する決定等

 第9条 受刑者から書面によって刑務所外刑の執行申し立てが行われた場合、中央矯正局(kriminalvardsstyrelsen)は、申し立て人が刑務所外刑の執行に相当する懲役刑判決を受けているか否かを審査しなければならない。中央矯正局は受刑者から刑の刑務所外執行の申し立てを受けた場合、その審査を地方矯正局に委任することができる。中央矯正局は地方矯正局によって行われた決定を変更することができる。受刑者が地方矯正局における決定に対して不服のある場合、中央矯正局に対して再審査の申し立てを行うことができる。

 中央矯正局の決定に対して異議ある場合、地方行政裁判所に対して異議の申し立てを行うことができる。

 高等行政裁判所に対して異議の申し立てを行う場合、審理許可を得なければならない。

 第9a条 中央矯正局は行政訴訟法(forvaltningsprocesslagen (1971:291)第7条の規定によって地方行政裁判所及び高等行政裁判所に対して行政訴訟(allmanna talan)を提起する任務を引き継ぐことができる。

 中央矯正局は最高行政裁判所(Regeringsratten)に対して行政訴訟を提起することができる。(1995:1729)

 第10条 地方矯正局は第1条に規定されている受刑者に対して、本法の内容を知らせると共に、第9条の規定による刑務所外刑の執行申し立てに際し、審査に必要な調査を行わなければならない。(1998:618)

 第11条 受刑者が懲役刑判決の執行に関して、刑務所外刑の執行の申し立てを行った場合、申し立ての最終審査が終わるまでの間、刑の執行を開始するため受刑者を刑務所に収監してはならない。但し、次に掲げる場合、最終審査が終わるまでの間、受刑者を刑の執行のため刑務所に収監しておくことができる。

 1.刑期の計算に関する法律(lagen (1974:202) om berakning av strafftid m.m.)第10条第1項に規定されている命令によって、受刑者が刑の執行を受けるため刑務所に出頭すべき最終日以後に刑務所外刑の執行の申し立てを行った場合

 2.受刑者が以前に刑務所外刑の執行に関する申し立てを行ったことがある場合

 3.刑務所外刑の執行申し立てが明らかに本法第1条に規定されている場合に当たらない場合

 4.受刑者が拘留されている場合

 第12条 判決の執行方法及び執行の期間は刑期等の計算に関する法律に定める。刑務所への移送及び刑の執行猶予に関する法律第10条第2項乃至第5項及び第12条の規定は、本法に規定されている刑務所外刑の執行の問題ついては適用されない。

 刑期の計算に関する法律第10条第1項が本法に規定する刑務所外刑の執行に適用される場合、受刑者に対して、一定の日から、自己の住居において刑の執行を開始することを命ずることができる。その場合、刑期の計算はその日から開始される。刑務所外刑の執行に関し、刑期の計算に関する法律題13条に規定されている恩赦規定が適用される場合、刑の執行が開始されたその日を最後の日とする。同法第25条に規定されている刑期の合併に関する規定は、合併される刑期が3ヶ月を超える場合、刑務所外刑の執行に適用されない。

 第15条第1項第3段の規定から監視委員会が刑務所外で執行された懲役刑の日数を確定することができる。(1996:784)

 第13条 地方矯正局は第8条に規定する受刑者の行動要綱を定めることができる。地方矯正局は第5条に規定されている手数料を受理し、その説明を行わなければならない。

 受刑者の個人的状況がそのことを理由づけるものがあれば、地方矯正局は第8条第1項に規定されている行動要綱を変更し、または第8条第2項の規定によって定められている行動要綱を変更、廃止、または新しい行動要綱を設ける ことができる。

 地方矯正局の決定は別段の定めがない場合、直ちにその効力を生ずる。(1998:618)

 

 第14条 第3条に規定されているコンピュータ制御が不能となった場合、刑務所外刑の執行決定を取り消すことができる。但し、その不能が一時的な場合はその限りでない。病院またはそれに類する施設への滞在をもって刑務所外刑の執行の取り消し理由とすることはできない。

 次の場合、刑務所外刑の執行決定は取り消される。

 1.受刑者が本法の規定によって課された義務を履行しなかった場合、または法律の規定に基づいて指示された遵守事項を遵守しなかった場合、及び受刑者に負わされているそれが重要な意味をもっている場合、det som ligger honom till last inte ar av mindre betydelse

 2.受刑者がそれを欲する場合

 3.受刑者が刑務所外刑の執行の開始条件を守らない場合、または刑の執行が開始されたとき、刑務所外刑の執行の対象となっている犯罪以外の理由によって刑務所に拘留されまた収監された場合、

 4.刑務所外刑の執行が開始される前に、新しく懲役刑に処せられた場合、またはその時期に3ヶ月以上の懲役刑に処せられたため、刑法第26章第19条または刑法典第34章第条4条の規定によって仮釈放が取り消された場合(1996:784)

 第15条 地方監視委員会(overvakningsnamnden)は地方矯正局からの届出に基づいて、刑の刑務所外執行決定を取り消すべきか否かを審査しなければならない。委員会はまた職権をもってその問題を取り上げることができる。決定が取り消された場合、委員会は刑務所外で執行された懲役刑の日数を確定しなければならない。刑務所外刑の執行が行われたその期間は、特別の理由がない限り、刑の執行期間として計算される。特別の理由がない場合、委員会は刑務所外刑の執行が取り消された後、その期間に相当する第5条の規定によって予納している返還額を決定することができる。

 刑務所外刑の執行決定は懲役刑期の終了後は取り消すことができない。

 第16条 刑務所外刑の執行を中止すべきか否かの問題が発生した場合、その刑の執行を指揮する地方矯正局は一時的に刑務所外刑の執行を中断することができる。地方矯正局の決定は直ちにその効力を生ずる。そのような決定が行われた場合、地方監視委員会は遅くとも決定が行われた後の労働日にその決定を維持するべきか否かを審理しなければならない。委員会においてその決定が支持されなかった場合、その決定は無効とする。

 一時的に刑務所外刑の執行を中断する場合、地方監視委員会は可及的速やかに最終的審査に至るまで、その問題を取り上げなければならない。

 本条の規定による決定は懲役刑刑期の最終確定日以後は行うことができない。(1998:618)

 第17条 監視委員会において刑務所外刑の執行を中止した、または一時的にその執行を延期した場合、既にその執行が開始されているとき、受刑者を刑務所に引致しなければならない。受刑者の刑務所への引致は受刑者が居住している地区の警察によって行われる。  

 受刑者に逃走の危険がない場合、警察署は受刑者を刑務所に引致する代わりに、受刑者本人に対して、自分で刑務所に出頭することを命ずることができる。(1996:784)

 第18条 13条の規定によって行われた地方矯正局の決定に対して受刑者が異議ある場合、地方矯正局を管轄する地区の地方監視委員会に対して異議の申し立てを行うことができる。(1998:618)

 第18a条 第15条、第16条に規定されている問題は刑の執行を指揮する地方矯正局を管轄する地域の地方監視委員会において審理される。特別の事由がある場合、別の地方監視委員会に対してその問題を審理することができる。(1998:618)

 第19条 本法に規定されている地方監視委員会の決定は別段の定めがない限り、即時その効力を有する。

 本法によって決定された地方監視委員会の決定に対しては、中央矯正委員会(Kriminalvards- namnden)に対して異議の申し立てを行うことができる。

 中央矯正委員会の決定に対しては異議の申し立てを行うことができない。(1996:784)

 第20条 政府または政府の指定する官庁は、第8条第1項第2号の規定に基づいて設けられている遵守事項に規定されている無償労務の実施に際し、受刑者によって損害がもたらされた場合、その損害に対する国家賠償に関する規則を定めることができる。(1998:618)

 経過規定

 1.この法律は1994年8月1日から施行する。

 2.本法の規定は1994年月1日前に決定された懲役刑判決の執行については適用されない。

 3.1994年10月1日前に行われた中央矯正局の決定は高等裁判所に対して、直接、異議の申し立てを行うことができる。1995:1729

 本法の規定は1996年月1日から施行されるも、それ以前に最初の決定がなされている事件については適用されない。

 本法の規定は第4条及び経過規定第1号に関する問題については1996年8月1日からその他の規定については1997年1月1日から施行される。 

                          以上(菱木昭八朗訳 00/03/13)

 


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